システム開発とは、業務の困りごとを解決するために、要件の整理、設計、開発、テスト、公開と運用まで順に進めて、仕組みを作る作業全体を指します。
頼む側の最初の仕事は、今の業務を紙に書き出すこと。何を作るかを定める責任は使う側にあると、IPA(情報処理推進機構)の要件定義ガイドにも書かれています(2026年10月2日確認)。
作る会社に任せきりにすると、できあがったものが現場の作業と合わないことがあります。逆に、頼む前に4行ほど書いておくだけで、打ち合わせの進み具合はかなり変わります。
この記事では、システム開発の種類、工程ごとに依頼側がやること、頼む前に書いておくこと、既製サービスで足りるかの見分け方を書きました。費用の決まり方は業務システム開発の費用の記事に分けています。福岡でWebアプリ・業務システムの開発をしている会社の目線でまとめています。
システム開発は、プログラムを書く前と後の作業まで含む
システム開発は、プログラムを書く作業だけを指す言葉ではありません。何を作るかを決める作業と、公開したあとに使い続けるための作業までを含みます。
プログラムを書くのは全体の一部で、手前の整理と、あとの運用がそれぞれ重い作業になります。ソフトウェア開発と呼ばれることもありますが、このページでは、プログラムを作ることに加えて、整理・設計・テスト・公開後の保守までを含めて「システム開発」と呼びます。
お弁当づくりに近いところがあります。
詰める前に、おかずの数と大きさを決めておかないと蓋が閉まりません。システムでも、作り始める前の整理が足りないと、あとで入り切らなくなります。
作るものは、使う人で2つのタイプに分けて考える
最初に確かめたいのは、そのシステムを使うのが社外のお客さまか、社内の従業員かです。使う人が違うと、最初に決めることも変わります。
| タイプ | 使う人 | 例 | 最初に決めること |
|---|---|---|---|
| Webアプリ | 社外のお客さま | 予約・受付、会員サイトとマイページ、診断やシミュレーター | お客さまが迷わず申し込めるまでの流れ。誰が使うか |
| 業務システム | 社内の従業員 | 顧客管理、在庫・受発注、日報・申請、表計算ソフトの作業の自動化 | 今の作業のどこを減らしたいか。誰が入力するか |
ここにスマホアプリや、すでに使っている会計・在庫のシステムとの連携が加わることがあります。連携先が増えるほど、決めることも増えます。聞き取りにも時間がかかります。
ホームページとの違いは、見せるだけで終わらないところ。ホームページは読んでもらうものですが、システムは入力された情報を記録し、計算し、次の人に渡すところまで動きます。
予約のように、既製のサービスが多い分野もあります。予約については予約システム導入は既製サービスと開発のどちらかを書いています。
工程は5つ。依頼する側の時間が要るのは、要件定義と受入テスト
システム開発は、大きく5つの工程で進みます。呼び方や区切りは会社によって違いますが、順番はほぼ同じです。
要件定義
何をどこまで作るか、優先順位を決める
設計・画面案
画面と入力項目を絵にして確認する
開発
機能ごとに作り、都度見せてもらう
受入テスト
現場の人が、普段の作業で触って確かめる
公開・運用
操作の説明、データの移行、公開後の直しと追加
工程の呼び方と区切りは会社によって違います
依頼する側の時間が特に必要になるのは、要件定義と受入テストの2回です。現場で実際に作業をしている人が入らないと、できあがりが現場とずれます。
| 工程 | 作る側がやること | 依頼する側がやること |
|---|---|---|
| 要件定義 | 業務の聞き取り。作る範囲と優先順位の整理 | 今の業務の流れと、使っている伝票や報告書などの帳票を見せる。現場の担当者が同席して、外せない条件を伝える |
| 設計・画面案 | 画面、入力項目、データの持ち方を図にする | 画面案が実際の作業の順に並んでいるかを確かめる。追加の希望は、ここまでに出す |
| 開発 | 機能ごとに作り、できた分を見せる | 見せられた機能に、質問と修正の希望を返す。返事が遅れると全体が止まる |
| 受入テスト | テスト用の環境を用意し、見つかった不具合を直す | 実際の件数に近いテスト用データで、普段の作業をひと通りやってみる |
| 公開・運用 | 公開作業、操作の説明、公開後の保守 | 使い始める日を決め、使う人に案内する。困ったときの連絡先を決める |
追加の希望を設計までに出すのは、あとから機能が増えるほど、作り直しの手間と費用が増えるためです。
契約のしかたにも、工程の考え方が出ています。経済産業省とIPAの「情報システム・モデル取引・契約書」(2026年10月2日確認)は、要件定義までは作業そのものを頼む準委任契約、開発は完成を約束する請負契約と、段階を分けて結ぶ考え方を取り入れたひな型を示しています。どちらの段階でも、情報の提供や判断を早くするなど、使う側の協力が前提になっています。
そのため、要件定義が終わるまでは見積りが確定しない会社もあります。見積りが固まるのはどの工程の終わりかは、最初に聞いておくと安心です。
小さく作って、使いながら足していく進め方向けのひな型(アジャイル開発版。作りながら中身を決めていく進め方のこと)も、同じ資料に用意されています。
頼む前に、紙に4つ書いておく
頼む前に、誰が、何の作業を、今どうやっていて、何に困っているかを4行で書いておくと、打ち合わせが早く進みます。完成させる必要はなく、メモで十分です。
- 誰がその作業をしている人と、結果を見る人。人数も添えます
- 何の作業を受注の記録、在庫の確認、日報の提出など、1つに絞ります
- 今どうやっている紙、表計算ソフト、メール、すでに使っているソフトのどれか。手順を順番に書きます
- 何に困っている時間がかかる、転記を間違える、必要な情報が探せない、特定の人しか分からない、など
たとえば「現場の担当者が日報を紙に書き、事務の人が夜に表計算ソフトへ打ち直している。転記のミスと、事務の残業が困りごと」くらいで足ります。

書くときは、ほしい機能より、困りごとを先に書いてください。「こんな機能がほしい」から書き始めると、その困りごとが既製のサービスで足りるかどうかの判断もできなくなります。まず困りごとを書き、機能は打ち合わせで決めれば足ります。
今使っている帳票や表計算ファイルの現物も、個人情報を伏せて用意しておくと、聞き取りが早くなります。
書き出しのたたき台は、生成AIに箇条書きのメモを渡して整理してもらう方法もあります。出てきた案はそのまま採用せず、実際の作業と合っているかを、現場の人に確かめてもらってください。AIは、現場の細かい事情までは知りません。
開発の前に、既製サービスで足りるかを確かめる
開発を頼む前に、既製のサービスで足りないかを確かめるのが先だと思います。業務によっては、すでにあるクラウドサービスの型に収まることがあるためです。
既製サービスで足りない部分があっても、すぐ開発に進まず、運用でカバーできないか、AIで埋められる仕組みがないかを先に検討するのがいいと思います。開発に進むのは、既製サービスや運用の工夫で埋められないと分かってからで遅くありません。
開発には、公開したあとも、世の中の流れや法改正に合わせた改修費がかかり続けます。
一方で、自社で集客や運用を十分に行っていて、費用をかけてでも細かくカスタマイズしたほうが全体の利益になると判断できるなら、開発する価値は出てきます。
見分けの手順は予約システム導入は既製サービスと開発のどちらかの4つの質問がそのまま使えます。予約に限らず、在庫や顧客管理でも同じ考え方です。
見積りでは、金額より先に含まれる範囲を見る
見積書が届いたら、金額より先に、どこまでが含まれているかを確かめます。同じ金額でも、保守や連携が入っているかで中身がまったく違うためです。
確かめる点は次の3つで、どれも見積書の段階で聞けます。
- 作る範囲今回作る機能と、作らない機能がどこで分かれているか。受入テストと、データの移行が含まれているか
- 公開後の保守サーバーの管理や不具合の対応が含まれるか。機能の追加は別の見積りか
- ソースコードや権利の扱い作ったプログラムを受け取れるか。権利の取り扱いは、契約の前に決まっているか
金額が変わる理由や保守費用の考え方は、業務システム開発の費用はいくら?にまとめています。
アディザインにシステム開発を相談するとき
アディザインでは、Webアプリ(社外のお客さまが使うサービス)と、業務システム(社内で使う仕組み)の両方を受けています。要件が固まっていない段階の「こういうことがしたい」からでも相談できます。
既製のサービスで足りる場合は、開発せずにそうお伝えします。
AIを使って社内の仕組みを自分たちで作りたい方には、最初の土台をこちらで作り、管理と機能の追加を自社でできるように引き継ぎまで行うプランもあります。
進め方と対応範囲は、Webアプリ・システム開発のページにまとめています。料金は今後も見直しが入るため、この記事には載せていません。最新の内容は各ページでご確認ください。
よくある質問
Q. 要件が固まっていなくても相談できますか?
できます。「こういうことがしたい」という段階から相談できます。聞き取りのうえで、Webアプリ・業務システムとして作るのがいいか、既製サービスで足りるかの切り分けから進めます。
Q. システム開発とホームページ制作は何が違いますか?
ホームページは情報を見てもらうものです。システム開発は、入力された情報を記録・計算し、次の人に渡すところまで動く仕組みを作ります。作る前に、業務の流れを整理する作業が重くなるのが違いです。
Q. ソースコードは受け取れますか?
お渡しの範囲や権利の扱いは、契約の前に取り決めておく項目です。希望がある場合は、見積りの段階で伝えてください。