会社のSNSは、目的を1つ決め、使う媒体を1〜2つに絞り、続けられる投稿の本数を先に決めると、始めやすくなります。
順番は、目的、媒体、投稿の型、プロフィールとホームページの整備、月1回の数字の確認で、何を投稿するかを考えるのはその後で足ります。
「反応が出ない」というご相談で一番よく見かけるのは、何のために、誰に何を伝えたいのかを決めないまま、思いついたものを投稿している状態です。投稿が悪いのではなく、決めておく順番が逆になっています。
この記事では、5つの手順それぞれで何をするか、媒体の選び方、見たくなる投稿の作り方と来た先の整え方、続けるための工夫、見る数字を書きました。Webの制作とSNS運用の両方をお手伝いしている会社の目線でまとめています。
SNS運用は、会社のアカウントで発信を続け、お客さまとの接点を作る仕事
会社のSNS運用は、アカウントを作って投稿するだけでは終わりません。投稿、コメントやメッセージへの返信、数字を見て次の投稿を直す、の3つを続けていく仕事です。
アカウントを作る作業は30分もあれば済みます。時間がかかるのは、そのあとの続ける部分です。
目的を1つ決める
知ってもらう・来てもらう・また来てもらうのどれか
媒体を1〜2つ選ぶ
お客さまがいる場所と、続けられる形式で選ぶ
投稿の型を決める
見たくなる中身と、次に進む仕掛けをセットで
来た先を整える
プロフィールとホームページ
月1回、数字を見る
3つの数字だけ。反応が良かった投稿を増やす
投稿の中身を考えるのは3番目です。先の2つが決まっていると迷いません
最初に、SNSで何をしたいのかを1つに決める
最初に、紙かメモに「SNSを見た人に、何をしてほしいか」を1つ書きます。目的は、大きく3つに分かれます。
| 目的 | 見た人にしてほしいこと | 向く場面 | 難しいところ |
|---|---|---|---|
| 知ってもらう | まだ会社やお店を知らない人に、名前と雰囲気を覚えてもらう | 開業して間もない、地域や業界で知られていない | 見た人がすぐ問い合わせに来るとは限らず、数字に出るまで時間がかかる |
| 来てもらう | 予約、問い合わせ、来店につなげる | 空きを埋めたい、新商品を知らせたい | 来た先のページが弱いと、見ただけで終わる |
| また来てもらう | 一度買った人・来た人に、再来店や再購入の案内を届ける | 既存のお客さまが多い、リピートが売上を支える | 登録してもらう入口を、店頭や名刺で作る必要がある |
3つとも同時に狙うと、どの投稿も中途半端になりやすいと思います。最初の3か月は1つに絞り、慣れてから2つ目を足すほうが続けやすいです。
目的が決まったら、同業で反応の多いアカウントを調べる
目的の次にやるのは、同業の人気アカウントを見ておく作業です。コンセプト(何を、誰に、どんな雰囲気で伝えるか)を固める材料になります。
- 各SNSの検索窓に、自社の業種名や地域名を入れて、出てきたアカウントを3つほど開く
- 最近の投稿を見て、反応(いいね・コメント)が多い投稿に共通する型をメモする
- 自社に置き換えて、できそうな型だけを残す
投稿そのものを写すのではなく、型を参考にするだけで十分です。同じ内容の投稿は、見た人に「どこかで見た」と思われてしまいます。
媒体は、お客さまがいる場所から1〜2つ選ぶ
選ぶ基準は、流行りではなく、自社のお客さまが普段見ている場所かどうかです。
総務省の情報通信白書(令和7年版)によると、LINEの利用率は2024年に94.9%まで伸びていて、60代でも9割を超えています。XとInstagramは全体の半数程度が使っています(総務省「情報通信白書 令和7年版」コミュニケーション・SNS、2026年10月1日確認)。多くの人が使っていることと、自社のお客さまがそこにいることは別の話なので、自社の場合を確かめる必要があります。
SNSの種類は、数えようと思えばいくらでもあります。会社でよく使われる主なものを、役割で並べました。
| 媒体 | 向きやすい使い方 | 続けるのに必要なもの |
|---|---|---|
| 写真や短い動画で、商品・お店・仕事の雰囲気を見せる | 見栄えのする写真や動画の素材 | |
| X | 今日のお知らせ、入荷、空き状況など、短い最新情報を出す | 短い文章を、こまめに出す時間 |
| 会社情報の受け皿。取引先や経営者層に向けた発信 | 月に数回でも、情報を更新する担当者 | |
| LINE公式アカウント | 登録してくれた人に、クーポンや新着を直接届ける | 登録してもらう入口(店頭・名刺・ホームページ) |
| YouTube・TikTokなどの動画 | まだ知らない人に、動画で見つけてもらう | 動画を撮って編集する時間と体制 |
ほかにも、Googleマップへの投稿、note、LinkedIn、Pinterestなど、業種によって合うものがあります。全部を網羅して始める必要はありません。まず1〜2つに絞って、うまく回る形を作るほうが、結果が出やすいと思います。
選ぶ手がかりとして、次の4つを順に自分に問いかけてみてください。
- お客さまは、どこを見ているか自社のお客さま3人に「SNSは何を見ていますか」と聞くのが一番確実です。年代や職業で、見ている場所はかなり変わります
- 見せるものがあるか見た目で魅力が伝わる商品や場所があれば、写真や動画に向きます。形のないサービスなら、お客さまの質問への答えのような文章主体の発信が向きます
- 続けられる形式か動画は撮影と編集に時間がかかります。週に使える時間で、無理なく出せる形式を選んでください
- 受け皿があるか見た人が次に進む先(予約ページ、ホームページ、LINE登録)が用意できる媒体を選びます
あなたの場合
LINE公式アカウント
登録してくれた人に直接届くので、リピートの案内に向きます。登録の入口を店頭や名刺に作ってください
「媒体は、お客さまがいる場所から」の章を読む
あなたの場合
Instagram(写真中心)
写真と短い文章で、お店や商品の雰囲気を見せる形から始めます
「媒体は、お客さまがいる場所から」の章を読む
あなたの場合
ショート動画(Instagramのリールなど)
動画で、まだ知らない人に見つけてもらう形から始めます。撮影の時間を先に確保してください
「媒体は、お客さまがいる場所から」の章を読む
あなたの場合
X
短い最新情報を、こまめに出す形から始めます
「媒体は、お客さまがいる場所から」の章を読む
あなたの場合
媒体の前に、見せる中身を決める
見せるものが決まらないと、どの媒体でも続きません。お客さまからよく聞かれる質問を集めるところから始めます
「投稿は、見たくなる中身と」の章を読む
投稿は、見たくなる中身と、次に進む仕掛けをセットで作る
SNSの投稿は、最初の一瞬で「続きを見たい」と思ってもらえるかどうかで、見られるかが決まります。お客さまはほかのSNS、ゲーム、テレビなど見るものが多く、会社の投稿をいちいち見ていません。どうでもいい写真を並べても、手は止まらないと思います。
投稿の型を3つ決めておく
毎回ゼロから考えると、すぐ疲れます。型を3つほど決めて、順番に回してください。
- お客さまの質問に答える電話や接客で実際に聞かれたことを、1投稿で1つ答える。質問を集めやすく、ネタが尽きません
- 現場や仕事の裏側を見せる仕込み、制作中の様子、道具など、普段お客さまが見られない場面
- お客さまの声や事例許可を得た声や、ご利用の様子。載せてよいか、事前に必ず確認します
そのうえで、見た人が次に進むための仕掛けを、投稿ごとに入れます。QRコードを載せるだけで人が来るなら苦労しません。見たくなる中身と、誘導する一言が必要です。
- 「予約の空き状況は、プロフィールのリンクからご覧いただけます」のように、行き先と得られるものを一緒に書く
- 「LINEに登録すると、平日限定の案内が届きます」のように、登録するとその場で得をする理由を書く
- 投稿の最後に「新作は2色、どちらが好みですか?」のように問いかけ、コメントを促す
景品やプレゼントで人を集める方法もありますが、景品目当ての人ばかり集まり、その後の購入につながらないことがあります。景品を付けるときは、金額に上限があるので、先に中小機構J-Net21の解説などで確かめてください(2026年10月1日確認)。
文章の下書きにAIを使うなら、現場の事実は自分で足す
投稿の文章は、ChatGPTなどの生成AIに下書きを作ってもらえば、ゼロから考える負担を減らせます。ただ、AIの文章は、どこかで見たような平凡な内容に寄りやすい傾向があります。実際にあった出来事、お客さまの反応、現場の写真は、自分たちで足してください。営業時間や価格のような事実は、公開前に自分の目で確かめます。
来た先のプロフィールとホームページを整える
投稿を見て興味を持った人が最初に開くのは、プロフィールです。そこで「何の会社か」が分からないと、人は離れていきます。集めることと、問い合わせや購入につなげることは別の仕事だと思います。
プロフィールで整えるのは、次の4つです。
- 1行目に、誰の何の会社かを書く「福岡市の注文住宅」のように、業種と得意なことを入れます
- リンクを入れるInstagramなら「プロフィールを編集」から「リンク」を開いて、ホームページや予約ページのURLを入れます
- 連絡先と営業時間を書く電話番号や営業時間を探させません
- 固定の投稿を1つ置く初めて見た人向けに、サービスの紹介や実績をまとめた投稿を、一番上に固定します
もう1つ大切なのは、リンク先のホームページです。SNSの呼びかけと、ホームページの中身がちぐはぐだと、せっかく来た人もすぐ離れます。たとえば、「無料でもらえる」と呼びかけて集めた人に、ホームページが有料サービスの説明だけだと、期待とずれてしまいます。呼びかけの言葉と、来た先の中身を合わせてください。
アクセスはあるのに問い合わせが来ないときの切り分けは「ホームページの問い合わせを増やすには?」に、集客の入口を並べた全体像は「ホームページ集客の入口を広く洗い出す記事」にまとめています。
続けるための作り方を、始める前に決めておく
SNS運用で一番難しいのは、続けていく部分です。最初の数投稿は勢いで出せても、忙しい時期に更新が止まるケースが多く見られます。次の4つを先に決めておくと、止まりにくくなります。
- 担当者を決める担当が1人だけなら、休んだときの代わりも決めておきます
- 本数を減らして始める週3回より、週1〜2回を確実に続けるほうが、長く続きます
- まとめて作る日を決める月に1〜2回、写真や動画を一度にまとめ撮りして、投稿を予約しておきます
- 公開前の確認の流れを決める誰が見て、誰が公開するか。載せてはいけないもの(個人情報、お客さまの顔など)を、先に決めます
最初の数か月は、数字が少なく、反応が薄いことがよくあります。その期間に、効果が出ているかどうかを判断するのは早いと思います。まずは3か月ほど、同じ型を出し続けてから見直すくらいの気持ちで進めてください。
見る数字は3つだけ。月に1回、同じ表に書いて比べる
SNSの管理画面には、数字がたくさん出てきます。全部を見ようとすると疲れて、見なくなります。見る数字は、見た人、プロフィールを開いた人、次の行動をした人の3つに絞ってください。
投稿を見た人各SNSの管理画面の分析(Instagramの「インサイト」など)
ここで少ないなら、投稿の最初の一瞬を見直す
プロフィールを開いた人同じ分析画面のプロフィールへのアクセス数
ここで減るなら、プロフィールの1行目とリンクを見直す
予約・問い合わせ・来店した人ホームページの問い合わせ件数、予約数、「SNSを見た」と言われた回数ここで止まりやすい
棒の長さは説明のためのイメージです。実際の数字は自社のものを使ってください
数字の出どころは、3つあります。
- 投稿を見た人・プロフィールを開いた人各SNSの管理画面にある分析。InstagramならプロアカウントにするとインサイトでSNS上の動きを確かめられます
- ホームページに来た人Googleアナリティクス(GA4)の「集客」から、SNSから来た人の数を見ます。見方は「アクセス解析とは?」にまとめています
- 予約や問い合わせをした人問い合わせフォームの件数、予約の数、そして店頭や電話で「SNSを見た」と言われた回数

SNSを見て来た人は、数字に出ないことが多いです。
そこで、店頭で「インスタを見ました」と伝えると小さな特典が付く、のような仕組みを作ると、SNSからの来店を数えられます。特典を付ける場合も、先ほどの景品の上限(景品の渡し方で決まりが違います)を確かめてください。
フォロワー数は、増えていても問い合わせにつながらないことがあります。まずは3つの数字を見て、反応が良かった投稿の上位3つの共通点を探し、次の月にその型を増やします。数字は毎月同じ表に書いておくと、変化が見えやすくなります。
自分で運用するか、任せるか
最初は、自社で試してみる進め方が多いと思います。ある程度うまくいく形が見えてから、足りない部分を任せるほうが、依頼する内容も具体的になります。
任せる場合も、いきなり運用まで丸ごと頼むのではなく、最初にコンセプトの設計だけ相談し、日々の投稿は自社で行う進め方があります。ただ、運用代行は手探りの状態で頼むと費用がかさみやすいので、先に目的と媒体を決めておくと安心です。
費用の目安と金額が変わる要因は「SNS運用代行の費用はいくら?」に、自社で続けるか外注するかの判断基準は「インスタグラム運用は自社と外注どちら?」にまとめています。アディザインのSNS運用の内容は、SNS運用代行のページで確認できます。どちらも、自社の状況に合わせて読み分けてください。
最初の1か月にやること
- 1週目: 目的を1つ決める。同業のアカウントを3つ見て、型をメモする
- 2週目: 媒体を1〜2つ選ぶ。プロフィールの1行目、リンク、固定の投稿を整える
- 3週目: 投稿の型を3つ決め、最初の4投稿をまとめて作る
- 4週目: 投稿を出す。月末に、見る3つの数字を表に書き、来月に増やす型を1つ決める
よくある質問
Q. SNSは何の媒体から始めればいいですか?
自社のお客さまが普段見ている媒体から、1つだけ始めてください。迷うときは、既存のお客さまに「SNSは何を見ていますか」と聞くと、答えが出やすくなります。上の診断図も使えます。
Q. 投稿は、週に何回出せばいいですか?
回数より、続けられる回数を先に決めるほうが大切です。週1〜2回でも、同じ型で3か月続けると、反応の違いが見えてきます。続けやすい回数は、使える時間で決めます。
Q. 担当者が1人しかいません。続けられますか?
担当者が1人でも、まとめて作る日を決め、投稿を予約すれば続けやすくなります。休んだときに誰が代わりに公開するかだけは、先に決めておいてください。
Q. 反応が出ないときは、どうすればいいですか?
投稿の見た目より先に、目的と見せたい相手が決まっているかを見直します。決まっていれば、反応が良かった投稿の共通点を探し、その型を増やしてください。