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EmDashとWordPress、管理画面なし(Astroなど)は更新する人で選ぶ|作ってみた感想

執筆:adisign

アディザイン・Web事業部の吉田です。

Cloudflare が作った EmDash(エムダッシュ)という仕組みで、サイトをいくつか作ってみました。作ってみて、AIを使えない人が更新する場合や、管理画面が必要な場合を除けば、個人的には管理画面なしで作ったほうが使い勝手がいいと感じています。

管理画面のないサイトは、特別な仕組みを使わなくても、HTML(ページの文章を書くファイル)とスタイルシート(CSS。見た目を書くファイル)だけで作れます。PHP(ページを組み立てるプログラミング言語)で作っても、フレームワーク(サイトを作るための枠組み)を使ってもかまいません。

フレームワークにもいろいろありますが、僕は Astro(アストロ)が好きなので、管理画面なしで作るなら Astro がいいと思いました。

ただ、お客さまのサイトを作る仕事では、どんな方が更新されるのか分からないうえ、担当者が替わることもあるので、基本は管理画面のある EmDash か WordPress がいい、という印象です。

この記事では、管理画面のある EmDash・WordPress と、管理画面のないサイト(HTML・Astro など)を、誰がどうやって更新するかを軸に比べます。作り直しの前に、どれで作るかを決めたい方の参考になればうれしいです。

きっかけは、研修先で「EmDash ってどうなんですか」と聞かれることが増えたこと

今、いろいろな会社さんで、AIを使った業務の効率化や、ホームページ・資料作成の研修をしています。AIである程度なんでも作れると分かってくると、会社さんが、ホームページや管理システム、ちょっとした業務を効率化する仕組みまで、自分たちで作られるようになります。

そうなると、やはりホームページの更新も自分たちでしたい、という話が出てきます。ご自分でいろいろ調べられる中で、ちょうど YouTube などで少し話題になっていた EmDash をご覧になったのだと思います。「EmDash ってどうなんですか」という質問を、よくいただくようになりました。

EmDash のことは僕も前から知っていたものの、まだ作ったことはありませんでした。それで、一度ちゃんと触ってみようと、いくつか作ってみました。この記事は、そのときの感想をまとめたものです。

EmDash は、Cloudflare が作った管理画面つきの新しいCMS

EmDash は、サイトの表示を速くしたり守ったりするサービスで知られる Cloudflare が作った CMS です。CMS は、ログインした画面からページやお知らせを書き換えられる仕組みのことで、WordPress もその1つにあたります。

EmDash は2026年4月に発表され、9月28日に本番のサイトに使える 1.0 が出ました。無料で使え、WordPress と同じように、ログインして記事を書き、写真を載せて公開できます。

違うのは中の作りです。このあと紹介するフレームワークの Astro をもとにしていて、Astro で作るサイトに管理画面を付けた形とも言えます。そのうえで、あとから足す機能(プラグイン)は1つずつ切り離された場所で動き、サイトの管理者が認めた範囲のことしかできません。Claude や ChatGPT などのAIツールを直接つないで操作できる入口も、最初から付いています。

比べる残りの2つ、WordPress と管理画面のないサイトも、簡単に紹介しておきます。

WordPress は、世界でいちばん使われている CMS です。W3Techs の調べでは、2026年10月30日の時点で、世界のサイトの39.5%が WordPress で動いています。

管理画面のないサイトの例として、僕が好きな Astro も紹介します。Astro は、サイトを作るためのフレームワークです。WordPress や EmDash のような、サイトを更新するための仕組み(CMS)ではなく、管理画面のないサイトを作る方法の1つにあたります。Astro で作ったサイトには管理画面が付いていないので、更新するときはサイトのファイルを直接書き換えて、公開し直します。

ファイルを書き換えるには少し専門の知識が要りますが、今は AIツールに指示を出せば、書き換えから公開まで任せられます。ページは前もって作っておき、そのまま配る形(静的サイト)になるので、表示も速くなります。

3つの作り方は、更新のしかたと引き継ぎやすさで違う

3つの違いを表にまとめました。どれが上というより、誰がどうやって更新するかで、向くものが入れ替わります。

比べることWordPressEmDash管理画面なし(HTML・Astro など)
更新のしかた担当者がログインした画面から書き換える担当者がログインした画面から書き換える。AIツールからも操作できるAIツールに指示を出すか、制作会社に頼んでファイルを書き換え、公開し直す
表示の速さ作り方と設定しだいで速くも遅くもなる速い作りになっているとても速い
安全面で気をつけたいこと本体と追加機能の更新を続ける。ログイン画面が狙われやすい追加機能は切り離されて動く。ログイン画面はあるログイン画面がない。代わりに、GitHub など、サイトのファイルを預けるサービスのアカウントを守る
引き継ぎ・制作会社の乗り換え使ったことのある人・扱える会社が多い出たばかりで、扱える人・会社が少ないHTML だけなら扱える人が多い。Astro などのフレームワークを使ったら、次の会社が扱えるかを確かめる。AIツールが使える人なら社内でも引き継げる
向いている場面担当者が画面から更新する。担当者が替わる。将来サイトを売るかもしれない自分たちで更新したいうえに、表示の速さや安全面も重視したいAIツールを使える人が社内にいる。速さ・安全・費用の安さを優先したい。更新は制作会社に任せたい

迷ったときの選び方は、記事の後半に診断の形でまとめています。

AIを使える人が更新するなら、個人的には管理画面のないサイトがいいと思う

EmDash でサイトを作ってみて僕が感じたのは、AIを使える人が更新するなら、管理画面を付けずに作り、作るのも更新するのもAIに任せたほうが早い、ということでした。

もう1つの理由は安全面です。ログインする画面がないぶん、管理画面がないほうが安心だと思います。

管理画面があると、ログインする入口がインターネットに出ていることになります。WordPress では、狙われやすいのは本体より追加機能のほうで、セキュリティの専門会社 Patchstack の調べによると、2025年に WordPress まわりで見つかった新しい脆弱性(攻撃に使われうる弱点)11,334件のうち、91%が追加機能(プラグイン)、9%がテーマでした。本体の脆弱性は6件で、どれも優先度の低いものだったそうです。

EmDash は、ちょうどこの追加機能のところに手を打った作りになっています。それでも、ログインする画面があることは WordPress と同じです。

HTML や Astro で作った静的サイトには、そもそもログインする画面がありません。更新はこんな流れになります。

AIツールで管理画面のないサイトを更新する流れ
  1. AIツールに指示を出す

    文章でも声でも「お知らせを1件足して」と伝える

  2. AIがサイトのファイルを書き換える

    書き換えた画面を、公開前に自分の目でも確かめる

  3. Git に変更を記録する

    誰がいつ何を変えたかが残り、元にも戻せる

  4. 自動で公開される

    Cloudflare などの配信サービスが新しいページを配る

Git は、ファイルの変更を記録して管理する仕組みです

費用の面でも有利です。たとえば Cloudflare では、前もって作ったページのファイルを配る分の通信は、無料で上限もありません。サーバー代がほとんどかからないことが多いのは、この仕組みのおかげです。

ただ、管理画面がなければ何も気にしなくていい、というわけではありません。狙われる場所が、ファイルを預けている GitHub や、配信している Cloudflare のアカウントに移るからです。こうしたアカウントは、パスワードに加えてスマホなどでもう1回確かめる二段階認証で守ってください。お問い合わせフォームのように入力を受け付ける部分は、静的サイトだけでは動かないので、別のサービスと組み合わせることになります。

AIに任せて作ったプログラム(バイブコーディングと呼ばれます)を社外に公開する前に確かめたいところは、安全面の記事でまとめています。

管理画面のないサイトを社内で更新するなら、AIツールと Git を少し覚える

管理画面のないサイトでも、Claude Code や Codex などのAIツールを使える人がいれば、社内で更新できます。

引っかかるのは、Git(ファイルの変更を記録して、元にも戻せる仕組み)の扱いなど、少し知識が要るところだけだと思います。ファイルを書き換えて記録し、公開するまでの操作はAIツールに任せられます。それでも、変更がどこに記録されたか、間違えたときに元へ戻すにはどうするか、くらいは分かっていたほうが安心して任せられるはずです。

どうしても画面から更新したい人が社内にいる場合、Astro で作ったサイトなら、編集画面だけをあとから足す方法も選べます。Astro の公式の案内には、組み合わせられる CMS として Keystatic や Pages CMS、EmDash などが並んでいます。

AIツールを使って自分でホームページを作る方法は、無料のホームページの記事でも紹介しています。

制作会社に作ってもらうサイトは、基本は管理画面のある EmDash か WordPress

ここまでは、AIツールを使える人が更新する場合の話でした。僕が制作会社としてお客さまのサイトを作る仕事では、基本は管理画面のある EmDash か WordPress がいいという印象を持っています。

理由は、どんな方が更新されるのか、作る側からは分からないからです。AIツールを使い慣れた方が担当されるとは限りませんし、今の担当の方が異動されたり辞められたりして、更新する人が替わることもあります。ログインして画面から書き換える形なら、次の方も画面の操作を覚えるだけで更新を始められます。

次の更新担当者に渡すサイト更新の手順書と、閉じたノートパソコン

担当者が替わる前提で作るなら、管理画面の中でも、触れる範囲を人ごとに分けておくと安心です。WordPress には管理者・編集者・投稿者のような役割の分け方があり、EmDash にも管理者・編集者・投稿者・寄稿者の役割が用意されています。記事を書く人には、デザインや設定を変える権限を渡さない、といった分け方ができます。

WordPress で作ったサイトを、公開後に誰がどう手入れするかは、WordPress のホームページの記事で詳しく書いています。

EmDash で作るなら、次の制作会社が扱えるかを考えておく

お客さまのサイトを EmDash で作るときに考えておきたいのは、お客さまが制作会社ごと替えたいと思われたときのことです。EmDash で作っていると、次の制作会社が EmDash を扱えるかという問題が出てきます。

2026年10月末の時点で、EmDash は 1.0 が出てから、まだ1か月ほどしかたっていません。CMSWire の記事によると、本番で使われている例は、早くから使い始めた人たちと Cloudflare 自身のものが中心だそうです。WordPress なら扱える会社がたくさんありますが、EmDash を扱える会社はまだ少ないので、次の依頼先の選び方がかなり狭まります。

出たばかりの仕組みには、使いながら足りないところが見つかる時期もあります。Cloudflare は8月に自社のブログを EmDash へ移していて、その報告では、負荷がかかったときの表示は安定した一方、予約投稿がバージョン v0.19.0 になるまで動かなかったことや、画像の管理・検索・多言語・編集画面の使い勝手に足りないところがあったことを書いています。どれも 1.0 より前の話ですが、新しい仕組みを選ぶときは、こうした手直しに付き合う時期があると思っておいたほうがいいでしょう。

サーバー選びの自由度にも注意が要ります。EmDash は Cloudflare 以外でも、Node.js(プログラムを動かす仕組みの1つ)が使えるサーバーなら置けます。よくあるレンタルサーバーでは使えない場合もあります。また、Search Engine Journal の記事は、表示を速くする仕組みの一部や、追加機能を探して入れる場所など、多くの機能が Cloudflare の仕組みに頼っていると指摘しています。Cloudflare の外で動かす場合は、何が使えなくなるかを先に確かめてください。

EmDash で作るかを決める前に、確かめておきたいことを表にまとめました。

確かめること確かめる理由
次の制作会社や社内の担当者が、EmDash を扱えるか制作会社ごと替えたくなったときに、次の依頼先が見つかりにくい
欲しい機能が、今の EmDash でそろっているか予約投稿のように、使いながら足りないところが見つかった例がある
Cloudflare の上で動かすか、別のサーバーに置くかCloudflare の外では使いにくい機能がある

サイトを育てて売るなら、WordPress のほうが手離れがいいと思う

アクセスを集めたサイトを育てて、いずれ売ることを考えているなら、WordPress のほうが手離れがいい気がしています。

WordPress は使っている人が多いので、買った人がそのまま更新を続けやすい面があります。世界のサイトの約4割が WordPress なので、買った人やその会社の担当者も、一度は使ったことがある場合が多いでしょう。EmDash のサイトや管理画面のないサイトだと、買った人が更新のしかたから覚えることになるので、買い手が限られる場合があります。

WordPress のサイトを渡すときは、有料の追加機能やテーマの使用権を買った人に引き継げるか、サーバーやアクセス解析のアカウントに、ほかのサイトも一緒に入っていて、そのままでは渡せない状態になっていないか、を先に確かめておくと、引き渡しがすんなり進みます。

迷ったら「誰が、どうやって更新するか」で選ぶ

3つのどれにするか迷ったら、サイトを誰が、どうやって更新するかから考えてみてください。質問に「はい・いいえ」で答えると、向いていそうな作り方と、この記事の該当する章へ案内します。

どれで作るかの診断

    質問1

    更新は、担当者がログインした画面から行いたいですか?

    担当者が替わる見込みがある場合や、誰が更新するかまだ決まっていない場合も「はい」

    質問2

    使っている人の多さより、表示の速さや安全面を優先したいですか?

    次の担当者や制作会社が扱えるかも合わせて考える

    質問3

    社内に AIツールを使える人がいるか、または更新を制作会社に任せますか?

    Claude Code や Codex などで、指示を出して更新できる人

    質問4

    将来、サイトを売るかもしれませんか?

    育てたサイトを譲る、事業ごと売る、などの予定

    あなたの場合

    WordPress

    買った人がそのまま更新を続けやすく、引き渡しも進めやすい作り方です。

    「サイトを育てて売るなら」の章を読む

    あなたの場合

    EmDash

    画面から更新でき、表示の速さや安全面にも手を打った作り方です。次の制作会社が扱えるかは先に考えておきます。

    「EmDash で作るなら」の章を読む

    あなたの場合

    管理画面なし(HTML・Astro など)

    AIツールで更新でき、速さ・安全・費用の面で有利です。HTML だけで作っても、フレームワークを使ってもかまいません。Git の扱いを少し覚えておきます。

    「管理画面のないサイトを社内で更新するなら」の章を読む

    あなたの場合

    WordPress

    担当者が替わっても、次の人や次の制作会社が扱いやすい作り方です。

    「制作会社に作ってもらうサイトは」の章を読む

    あなたの場合

    WordPress

    AIツールを使える人がいなければ、画面から更新できる作り方が向きます。扱える人が多い WordPress から考えてください。

    「制作会社に作ってもらうサイトは」の章を読む

    まとめると、次のようになります。

    • WordPress が向く社内の担当者がログインした画面から更新したい場合や、担当者が替わっても次の人がすぐ更新できるようにしたい場合、将来サイトを売るかもしれない場合
    • EmDash が向く自分たちで画面から更新したいうえに、表示の速さや安全面も重視したい場合
    • 管理画面のないサイト(HTML・Astro など)が向く社内に AIツールを使える人がいて、速さ・安全・費用の安さを優先したい場合や、更新は制作会社に任せたい場合

    自分で試すなら、この依頼文をAIに貼る

    管理画面のないサイトが自社に合うかは、試しに1つ作ってみると分かりやすくなります。Claude Code や Codex などのAIツールに、次の依頼文を貼ってみてください。僕が好きな Astro で試す依頼文にしていますが、依頼文の「Astro を使って」を「HTML と CSS だけで」に書き換えてもかまいません。

    今のホームページを、管理画面のない静的サイトとして作り直す試作をしたいです。作り方は、Astro を使ってください。
    今のサイトのURL:(ここに貼る)
    まだ公開はせず、このパソコンの中だけで動かしてください。
    
    1. 今のサイトのトップページと、お知らせのページを1つ再現してください
    2. お知らせを1件足す作業を、あなたに頼んだときの流れを、専門用語を使わずに説明してください
    3. Git で変更を記録する場合に、私が知っておくべきこと(記録された場所の見方、元に戻す方法)を3つ以内で教えてください
    4. お問い合わせフォームなど、静的サイトだけでは動かない部分があれば、一覧にしてください
    
    最後に、この作り方を社内の担当者が続けられそうかを判断するために、私が確かめるべきことを書いてください。

    試作を見て、更新の流れを社内の人が続けられそうなら管理画面のないサイト、画面から更新したい人が多いなら EmDash か WordPress、と考えると決めやすくなります。

    自分たちでAIを使って作りたい会社さんは、研修から始められます

    AI研修をしている会社さんでは、研修のあと自分たちでAIを使い、ホームページや社内の仕組みを作って、実際の業務で使われています。EmDash についての質問も、自分たちで作り始めた会社さんから出てきたものでした。

    自分たちでAIを使って、作ったり更新したりできるようになりたい方は、ぜひお問い合わせください。状況に合わせて選べるよう、研修やサービスのページを次にまとめています。

    • まず、AIで何ができるかを体験したいAI基礎講座
    • 自社の困りごとを題材に、AIで作るところから試したい課題解決型セミナー
    • 研修・セミナーの全体を見て決めたいAI活用・セミナー
    • 作り方を決めて、ホームページを作り直したいホームページ制作(AIをつないで更新を任せられる作りにすることも、プランやオプションとして相談できます)
    • AIツールと Git を使って、社内で更新できるようにしたい内製化支援

    最新の内容と料金は、各ページで確認してください。

    よくある質問

    Q. EmDash は、WordPress のプラグインやテーマをそのまま使えますか?

    そのままでは使えません。WordPress の記事・固定ページ・画像・カテゴリーなどの分類は取り込めますが、追加機能(プラグイン)とテーマは EmDash 用に作り直すことになります。作り直しをAIツールで手伝う仕組みは用意されています。

    Q. Astro で作ったサイトに、あとから管理画面を付けられますか?

    付けられます。Keystatic や Pages CMS などの CMS を組み合わせると、画面から文章を書き換えられるようになります。EmDash も、Astro に管理画面を付けた形の1つです。ただ、管理画面を付けるなら、最初から EmDash や WordPress で作ったほうが早い場合もあるので、誰が更新するかを先に決めてから選んでください。

    Q. 管理画面がなければ、セキュリティの心配はいりませんか?

    ログインする画面が狙われる心配は減りますが、ゼロにはなりません。ファイルを預けている GitHub や、配信している Cloudflare などのアカウントは二段階認証で守り、お問い合わせフォームのように入力を受け付ける部分は、使っているサービスの設定も確かめてください。

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