「予約システムを入れたいのですが、既製のサービスと自社向けの開発のどちらがいいですか」というご相談をよくいただきます。まずは既製サービスの無料〜低額のプランで試し、それでは合わない点が残ったときに開発を考えるのが、費用の面でも失敗しにくい進め方だと考えています。
費用が大きく分かれるのは、機能の数よりも「既製サービスの型に合わない部分があるかどうか」という点です。合っていれば月額の利用料で済み、合わなければ開発の見積りになります。
この記事では、既製サービスで足りるかどうかの見分け方、予約サービス各社が公表している料金、開発にしたときに費用が動く要因を整理しました。依頼する前に書き出しておくとよいことも載せています。Webアプリや業務システムの開発も手がけている会社の目線で書いています。
既製サービスで足りるかは、4つの質問で見分けられます
見分けるときは、機能の一覧表を比べる前に、今の予約の受け方をそのまま書き出してみてください。既製サービスの型に合わないことが1つもなければ、開発を急ぐ必要はありません。
次の4つの質問に、1つでも「はい」がつくなら、開発を検討する価値があります。
| 質問 | 「いいえ」なら | 「はい」なら |
|---|---|---|
| 予約の受け方に、業界や自社独自のルールがありますか(会員ごとに枠が違う、複数の担当者と設備を同時に押さえるなど) | 既製サービスで足りやすい | 設定で対応できるか確認し、できなければ開発 |
| 今使っている顧客名簿や会計のシステムと、データを自動でつなぎたいですか | 既製サービスで足りやすい | 連携できるか確認し、できなければ部分的な開発 |
| 予約画面を自社のサイトやアプリの一部として、デザインまで作り込みたいですか | 既製サービスで足りやすい | 開発、または既製サービスの画面を埋め込む方法を比較 |
| 予約の件数や利用者が増えたとき、お客さま自身が使う画面を独自に育てていきたいですか | 既製サービスで足りやすい | 開発を検討 |

「はい」がついたからといって、すぐ開発が必要というわけではありません。既製サービスの設定を工夫すると、意外と収まる場合があります。私たちが開発の相談を受けたときも、既製のツールで足りるなら開発せずにその旨をお伝えしています。
既製サービスの費用は、月額の利用料が中心です
既製の予約サービスは、初期費用が無料で、月額の利用料だけで始められるものが中心です。実際の料金を、各社の公式ページから確認しました。
| サービス | プラン | 月額(税込) |
|---|---|---|
| Airリザーブ | フリー | 0円 |
| Airリザーブ | ベーシック | 5,500円 |
| Airリザーブ | スタンダード | 11,000円 |
| STORES 予約(年間契約) | フリー | 0円 |
| STORES 予約(年間契約) | スモール | 9,790円 |
| STORES 予約(年間契約) | チーム | 19,690円 |
- 出典: Airリザーブ「費用・料金」、STORES 予約「料金プラン」(2026年9月21日確認。上位プランは各ページを参照)
Airリザーブは初期費用0円で、全プランで月間の予約件数に上限がありません。STORES 予約も初期費用は無料で、プランごとに月間の予約件数・予約ページの数・登録できるスタッフの数が変わります。同じサービスでも、年間契約か3か月以上の契約かで月額が違う点も見落としやすいところです。
まず無料プランで実際に予約を受けてみて、足りない機能が出たら有料プランに上げるという順番が、初期の負担を抑えられます。
私たちも、基本的には自社開発よりも既製のサービスをまず使ってみることをおすすめする立場です。既製サービス側の機能も、これからAIを取り込んでどんどん良くなっていくと見込んでいます。
開発にしたときは、この5つで見積りが動きます
自社向けに開発する場合は、料金表がありません。予約サービスのように月額が決まっているのではなく、何をどこまで作るかで見積りが決まります。同じ「予約システム」でも、予約ルールの複雑さと連携先の数で、費用は大きく変わります。
見積りの前に整理しておきたい点は、次の5つです。
- 予約のルール曜日・時間帯・会員の種類・担当者や設備の組み合わせなど、条件が多いほど設計と確認の手間が増えます。
- 他のシステムとの連携決済、カレンダー、顧客管理、会計などとつなぐ場合は、連携先ごとに作業が増えます。
- 管理画面の作り込み予約の一覧・変更・キャンセルを、スタッフがどこまで簡単に操作できるようにするかで変わります。
- 今あるデータの移行紙や表計算ソフトで管理している予約・顧客のデータを取り込む作業が加わります。
- 公開後の保守サーバーの管理や、障害が起きたときの対応をどこまで頼むかで、運用の費用が決まります。
金額の目安は、作りたい内容を整理した後の見積りで初めて出せます。ここを飛ばして先に金額だけ聞くと、後から機能が増えて予算が合わなくなりやすいので、業務の洗い出しから一緒に進めてくれる相手を選んでください。予約以外の在庫・顧客管理・受発注システムも含めた見積りの考え方は、業務システム開発の費用はいくら?にまとめています。
開発は、予算とリソースをしっかり組める会社にとっては選択肢になります。ただ実際の相談では、世の中の流れや法改正への対応など、公開後もずっと開発・改修の費用がかかり続けることを見込んでいないケースをよく見かけます。開発を選ぶときは、作る費用だけでなく、その先も付き合っていく費用として考えておいてください。
開発は、既製サービスとの組み合わせでも進められます
「既製か開発か」の二択で考える必要はありません。予約の受付は既製サービスに任せて、顧客管理との連携部分だけを個別に作る、という分け方もあります。全部を作るより、費用も期間も抑えやすくなります。
既製サービスで足りない部分が見つかっても、すぐに開発へ進む必要はありません。運用のやり方を工夫してカバーできないか、AIを使って埋められる仕組みがないかを、先に検討する価値があります。
進め方は、最初から全機能を作らず、一番困っている業務だけを公開して、使いながら足していくのが基本です。最初に作る範囲を小さくするほど、使われない機能にお金をかけずに済みます。
一方で、自社ですでに十分な集客・運用ができていて、細かいカスタマイズに費用をかけたほうが全体の利益にとって大きいと判断できる場合は、開発に踏み切ってよい場面もあります。
今は、AIを使って自社で画面案や必要な機能のメモを作ってから、開発の相談に持ち込むと、伝えたいことが整理されている分だけ打ち合わせが短くなりやすく、見積りも的確になりやすくなります。
自社で作りたいけれど管理や機能追加の判断に自信がないという場合は、土台だけ作ってもらい、その後を自社で育てるために引き継ぎのトレーニングを受ける方法もあります。アディザインでも、そうした「代行と引き継ぎ」の進め方を用意しています。
補助金が使えるのは、登録されたツールを導入する場合です
システムの導入には、国の「デジタル化・AI導入補助金」が使える場合があります。中小機構の案内では、補助の対象は、IT導入支援事業者が登録したITツールに限られるとされています。
つまり、事務局に登録された既製のツールを、登録事業者を通して導入する形が基本です。自社向けに一から作る開発が対象になるかは、申請の前に公式サイトで確かめてください。補助金を使いたいなら、ツールを選ぶ前に登録の有無を確認すると、後戻りがありません。
- 出典: 中小機構 補助金活用ナビ「デジタル化・AI導入補助金」、デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト(2026年9月21日確認)
制度の対象や上限、締切は、補助金・助成金のページにまとめています。当社は申請の代行はしていません。ホームページ制作費に使える小規模事業者持続化補助金の申請の流れは、ホームページ制作の補助金は使える?で整理しています。
依頼する前に、この3つを書き出してください
既製サービスにするか開発にするかを決めるために、次の3つを紙に書いておくと、打ち合わせがスムーズです。予約の受け方を、今のやり方のまま書き出すことが、一番の準備になります。
- 今の予約の流れ電話・LINE・紙のどれで受けて、誰がどこに記録しているか。
- 合わないことの一覧既製サービスを試して「ここが足りない」と感じた点。無料プランで試した結果があると、そのまま材料になります。
- つなぎたいシステム顧客名簿や会計など、予約のデータを渡したい先。
そのうえで、業務の流れが分かる資料や、いま使っている帳票(請求書・台帳など)のご共有と、現場の担当者の方の同席をお願いしています。現場の方が入ると、机の上の想定とのズレを早めに見つけやすくなります。
開発が必要かどうか分からない段階でも相談できます
「こういうことがしたい」という段階から、既製のツールで足りるか、開発が必要かの切り分けを相談できます。作りたい内容が固まっていなくても大丈夫です。
Webアプリ・システム開発の内容や進め方は、Webアプリ・システム開発のページにまとめています。料金はこれからも見直しが入るため、この記事には金額を載せていません。最新の内容は各ページでご確認ください。
よくある質問
Q. 予約システムは、無料のサービスでも問題なく使えますか?
小規模で、予約の受け方がシンプルなら、無料プランで足りる場合があります。ただしプランによって、予約ページの数やスタッフの登録数、使える機能が制限されます。実際に予約を受けてみて、足りない点が出たら有料プランを検討してください。
Q. 途中で既製サービスから自社開発に切り替えられますか?
切り替えは可能です。ただし、それまでの予約データや顧客データを移す作業が加わります。最初から、データを書き出せるサービスを選んでおくと、後で移行しやすくなります。
Q. 業務システムの開発を頼むと、どれくらいの期間がかかりますか?
内容によって大きく変わります。予約のルールが複雑か、連携先がいくつあるかで、作る内容の整理から公開までの期間が動きます。一番困っている業務だけを先に公開する進め方にすると、動くものを早く手にできます。