「AIの研修は、興味がある人だけ受ければいいですか」というご相談をよくいただきます。興味がある人だけに対象を絞る必要はありません。まだ使ったことがない人が受けても、意味がないとは限らないからです。
使い方を知らなければ、「使いたい」と思うきっかけ自体がありません。実際に手を動かして「こんなことができるのか」と知ったときに、使いたいと思う人が出てくる可能性があります。
この記事では、研修の対象を絞らなくてもいい理由と、研修そのものと社内導入は別の話であること、受けたあとどう社内に広げていくかを整理しました。
研修の対象を、興味の有無で絞る必要はありません
AI基礎講座は、経営者から一般社員まで、前提知識がなくても同じ内容で受けられます。興味がある人だけに絞らなくても、受けてもらう意味はあります。
体験する前の「使い道が思いつかない」状態と、体験した後の「こういう場面で使えそうだ」という状態では、同じ人でもまったく違います。文章の要約や翻訳、画像生成まで一通り触ってもらうことで、その場では静かに聞いていた人からも、あとで「これなら自分の作業でも使えるかも」という声が出てくることがあります。
実際に「受けてよかった」という声が多いのは、AIエージェントを使ってファイルそのものを作れる場面や、プログラミングで何ができるかを実演したときです。チャットで質問に答えてもらう使い方しか知らなかった人ほど、驚かれることが多くなります。音声入力の実演も反応が大きく、人に話しかけるように指示を出すだけでキーボードでは入力しきれない量の情報を一度に伝えられると知って、そんなに気軽に話しかけていいのかと気づく人が目立ちます。
Grok・Claude Code・ChatGPT・Geminiなど、複数のAIを同じようなものだと捉えている受講者は多く、基礎講座ではそれぞれの得意分野や使いどころ、癖の違いも扱うため、そこを知れてよかったという感想がよく出ます。あわせて他社の具体的な活用例や制作物を見せる場面も反応が大きく、自分たちも試してみようという声につながりやすいところです。
受ける前の時点で誰が使いたいと思うかは、こちらにも本人にも分かりません。対象を広く取っておくと、その中から興味を持つ人に出会える可能性が広がります。もちろん、人数や予算の都合で対象を絞っても構いません。
研修と社内導入は、別の話です
ここは混同されやすいところなんですよね。「研修を全社員で受ける」ことと、「AIを全社一斉に業務で使わせる」ことは、まったく別の話です。
研修は、体験して知る機会にすぎません。一方の社内導入は、実際にアカウントを発行し、日々の業務でAIを使ってもらう段階を指します。避けたいのは、研修を挟まずに「明日から業務でAIを使ってください」と号令をかけてしまう進め方です。使い方を知らない人に「使え」と言っても、結局使われないまま終わることが多く見られます。
経験上、いろいろな企業のAI研修をしてきた中では、まず基礎講座で全員に「AIで何ができるか」を知ってもらい、そこで「使いたい」と手を挙げた人から実際の導入を始める、という進み方がうまくいきやすいです。研修を受けた全員が使い始める必要はありません。興味を持った人が出てくれば、そこがスタートラインです。
経営者の判断で導入を早く進めたい場合も、全社員に一律で使用を求めると、実際にはほとんど使われないまま費用だけがかかることがあります。研修を通じて興味を持った人から範囲を広げていくほうが、かけた費用が業務に結びつきやすくなります。
社内導入そのものの進め方(無料版から始める、会社のアカウントに切り替えるタイミング、使うAIの選び方など)は、姉妹記事のAIの社内導入は何から始める?にまとめています。この記事は「研修を受けるかどうか、受けるなら何を」という手前の話、AIの社内導入は何から始める?は「実際に使い始めた後、どう広げるか」という後の話、と分けて読んでいただくと分かりやすいと思います。

研修を受けずに始める場合
研修を挟まずに始めたい場合は、すでにプライベートでAIを使っている人・使ってみたいと言っている人だけでチームを組んで始める方法もあります。
自己流で始めた会社が実際に困るのは、AIエージェントに音声で指示するだけである程度の仕組みが手元のパソコンの中で作れてしまったあとです。それを自分だけでなく同僚にも使ってもらおうとした段階になって、どこに置けば動かせるのかというサーバーやインフラの知識が無くて止まる、といった形で困りごとが出てきます。セキュリティや著作権の扱いは大丈夫か、そもそもこの作り方や構造で問題ないのか、本業ではないからこそ判断がつかず、不安だけが残るケースも見られます。具体的な困りごとが無くても、なんとなく効率化できそうだが何から手をつければいいか分からない、という状態のまま止まっている会社も少なくありません。
この場合も、対象を無理に広げないのがポイントです。まだ触ったことのない人にまで「とりあえず使ってみて」と広げてしまうと、使われないまま費用だけが残る状態になりやすくなります。
もっと具体的に使いたくなったら
基礎講座を受けたあと、「もっと具体的な使い方を知りたい」「自社の課題を解決したい」という段階に進みたくなったら、次のプログラムがあります。それぞれ単独で依頼でき、受ける順番も自由です。
基礎講座のあと課題解決型セミナーまで進む会社と、基礎講座だけで区切りをつける会社の違いは、続きにコストをかける覚悟があるかどうかに出ることが多くあります。セキュリティ対応や社員への展開にはそれなりの費用がかかるため、可能性を感じても予算の面で足踏みする会社もあります。
| プログラム | こんな段階に向いている |
|---|---|
| テーマ別講座 | 業務活用・AI制作・AI開発など、使い方をもっと具体的に覚えたい |
| 課題解決型セミナー | 自社の課題を、AIでどう解決するか一緒に考えたい(要望が最も多い) |
| AI推進メンバー向け講座 | 社内で進める人だけを対象に、情報の扱いと進め方を決めたい |
私たちの基礎講座について
私たちのAI基礎講座は、代表自身が講師を務めています。制作会社としてWebサイトやデジタルサイネージを作る一方、LEDビジョン事業「アディザネージ」を自社のWebサイトだけで立ち上げて運営してきた実務者で、講座では実際の業務で使っている画面と手順をそのまま見せながら進めます。
課題解決型セミナーやテーマ別講座は、扱う業務やテーマに応じて講師・内容を組み立てます。使うAI(Claude・Gemini・Codexなど)の選定から相談したい場合や、どのプログラムが自社に合うか分からない場合は、AI活用・セミナーのページからご相談ください。
申し込み前に確認しておくとよいこと
内容そのものより前に、次の4つを確認しておくと当日の進行がスムーズになります。
- 使ってみたいAIツールの希望(研修ではClaude CodeかCodexを使用します。無料版から試したい場合はCodexが中心になります)
- 社内で使っているパソコンがWindowsかMacか(AIエージェントの設定がOSで少し変わるため)
- 講師の操作画面を映せる大きなモニターやプロジェクターの有無
- 事前に試したいことや、社内で時間がかかっている業務のリストアップ
特に、社内で時間がかかっている業務のリストアップは当日の内容を自社の業務に結びつけやすくするので、事前に共有いただけると、その業務を例に使いながら進められます。
よくある質問
Q. 基礎講座は、興味のある人だけに絞ったほうがいいですか?
絞る必要はありません。受ける前の時点では、誰が使いたいと思うかは分からないので、対象を広く取っておくと、そこから使いたいという人に出会える可能性が広がります。もちろん、人数や予算の都合で対象を絞っても問題ありません。受けた後に無理に使わせる必要もなく、そこから使いたい人が出てくるのを待つ形で構いません。
Q. 基礎講座を受けたら、そのまま業務で使わせていいですか?
一律にそうする必要はありません。基礎講座は体験の機会で、実際の業務導入は別の段階です。研修を受けた人の中から「使いたい」という人が出てきてから、そこを起点に導入を進めてください。
Q. オンラインでも受けられますか?
はい、オンラインでの実施も可能です。対面と同じ内容で進められます。
Q. 基礎講座を受けないと、テーマ別講座は申し込めませんか?
そんなことはありません。テーマ別講座は基礎講座を受けていなくても依頼できます。すでに触ったことがあり、使い方を具体的に覚えたい段階であれば、テーマ別講座から始めていただいて構いません。