サイテーションとは、会社名や店名、住所、電話番号などが、リンクの付かない形でほかのサイトやSNS、口コミに書かれている状態を指します。地域の情報誌のサイトに店名と住所が載っている、SNSで「〇〇のパンがおいしかった」と投稿されている、といったものがこれにあたります。
中小企業やお店は、数を増やすより先に、すでに書かれている自社の店名・住所・電話番号の書き方をそろえることから始めると進めやすくなります。
Googleは、Googleマップなどの地図の検索結果の順位を決める要素の1つに「知名度」を挙げていて、その材料には、リンクしているサイトの数やクチコミの数などの情報も含まれると説明しています。ただ、リンクのない言及が普通の検索順位にどう効くかまでは、公式には説明していません。
一方で、Googleはお店の情報を、公式サイトだけでなく、公開されているほかのサイトやユーザーの投稿からも集めています。移転前の住所が古いグルメサイトに残っていると、探している人が迷うもとになります。
この記事では、サイテーションと被リンクの違い、Googleが説明している効き目の範囲、表記をそろえる手順、名前を書いてもらうための工夫と、やってはいけないことをまとめました。ホームページ制作と公開後の集客をお手伝いしている会社の目線で書いています。Googleと消費者庁の説明は、2026年10月5日に公式の資料で確認した内容です。
サイテーションとは、社名や店名がリンクなしで書かれていること
サイテーションは英語の citation で、もとは「引用」「言及」という意味の言葉です。SEOやMEO(Googleマップでお店を見つけてもらう対策)の話では、自社の名前や連絡先が、ほかの人の書いた文章の中に出てくることを指して使われています。
書かれる場所は、思っているより多いものです。
| 書かれる場所 | 書いている人 | よくある書かれ方 |
|---|---|---|
| グルメ・予約・求人などのポータルサイト | サイトの運営会社、自社の担当者 | 店名・住所・電話番号・営業時間の一覧 |
| 地域の情報誌や新聞、業界紙のWeb記事 | 記者・編集者 | 新しい取り組みの紹介の中で社名に触れる |
| 商工会議所・業界団体・商店街の名簿 | 団体の事務局 | 会員の一覧に社名と所在地 |
| SNSの投稿・ブログ | お客さまや取引先 | 「〇〇で買ってきた」「〇〇さんにお願いした」 |
| Googleマップなどのクチコミ | 実際に利用した人 | 店名とサービスについての感想 |
自社で書き換えられるものと、相手に頼むしかないものが混ざっているのが、サイテーションの扱いにくいところなんですよね。この違いは、あとの章で取り組む作業を整理する目安になります。
被リンクとの違いは、自社のサイトへのリンクがあるかどうか
被リンクは、ほかのサイトから自社のホームページへ貼られたリンクを指し、サイテーションはリンクがなくても、名前や連絡先が書かれていれば当てはまります。取引先のサイトの「主な取引先」に社名だけが載っていればサイテーション、社名から自社のサイトへ飛べるようになっていれば被リンクにもあたる、という関係です。
| 被リンク | サイテーション | |
|---|---|---|
| 何を指すか | ほかのサイトに貼られた、自社のサイトへのリンク | ほかのサイトやSNSに書かれた、自社の名前や連絡先 |
| 読んだ人の動き | リンクを押して、そのまま自社のサイトへ来られる | 名前で検索するか、電話をかけるか、地図で探す |
| 自社での確かめ方 | Search Consoleの「リンク」で一覧が見られる | 社名や電話番号で検索して、1つずつ探す |
| Googleの公式の説明 | 新しいページを見つけるときにも、順位を決めるときにも、リンクを使っている | 地図の検索結果の「知名度」では、リンクやクチコミの数などの情報を使うと説明。リンクのない言及の扱いは書かれていない |
リンクの付いた紹介は、被リンクでもあり、サイテーションでもあります。被リンクの確かめ方や、取引先・団体に紹介してもらう方法は「被リンクとは?無料での確かめ方と、取引先や地域に紹介される方法」にまとめました。この記事では、リンクの有無にかかわらず「名前が書かれること」を中心に話を進めます。
Googleが公式に説明しているのは、地図の検索結果の「知名度」まで
Googleがサイテーションに近いことを公式に書いているのは、Googleマップなどに出る地図の検索結果(ローカル検索結果)の説明です。リンクのない言及が普通の検索順位をどれだけ上げるかは、公式には説明されていません。
Googleビジネスプロフィールのヘルプでは、地図の検索結果は主に「関連性」「距離」「知名度」の3つで決まるとしています。知名度は、そのお店や会社がどれだけ広く知られているかのことで、リンクしているウェブサイトの数やクチコミの数などの情報にも基づく、という書き方です。あわせて、お金を払って順位を上げてもらうことはできない、とも書かれています。
ほかのサイトに書かれた情報には、もう1つ別の役目があります。Googleは、お店のプロフィールに出す情報を、オーナーが登録した内容のほかに、公式サイトなどの公開されている情報、ほかの会社から提供を受けたデータ、ユーザーの投稿からも集めていると説明しています。
古い電話番号があちこちに残っていると、どれが正しいのか、探している人もGoogleも迷いやすくなります。
AIの検索については、GoogleはAIによる概要などに表示されるための特別な対策は要らず、普段のSEOの基本がそのまま当てはまるとしています。AIに会社のことを聞いたときにも、ネット上に書かれた情報が答えの材料になることはあるので、古い情報を残さないことは、ここでも無駄になりません。
サイテーションは、SEOでやったほうがいいことの1つだと思います。ただ、それだけで順位が上がる裏技ではなく、自社の情報を正しく、広く知ってもらうための地道な取り組みです。SEO全体の中での位置づけは「SEOとは?Googleが順番を決める仕組みと、中小企業が最初にやる3つ」に書いています。
- 出典: Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント|Google ビジネス プロフィール ヘルプ、Google がビジネス プロフィールとローカル検索結果の情報を入手する方法と、それらの用途|Google ビジネス プロフィール ヘルプ、AI 機能とウェブサイト|Google 検索セントラル(2026年10月5日確認)
最初にやるのは、店名・住所・電話番号の書き方をそろえること
新しく書いてもらう前に、今あちこちに書かれている自社の店名・住所・電話番号を、同じ書き方にそろえます。英語の頭文字をとってNAP(Name・Address・Phone)と呼ばれることもありますが、やることは表記をそろえて、古い情報を消していく作業です。
街を歩いていて、看板の電話番号とチラシの電話番号が違うお店があると、どちらにかければいいか迷いますよね。ネット上でも同じことが起きています。
正しい書き方を1つ決める
株式会社の位置、ビル名と階、電話番号の区切り方まで決めて、社内で共有します
自社のホームページとGoogleビジネスプロフィールを合わせる
自分で直せる2か所から先にそろえます
社名・店名と電話番号で検索して、載っている先を書き出す
表計算ソフトに、サイト名・ページのアドレス・今の表記を並べます
自分で直せる先は、管理画面から直す
ポータルサイトや団体の名簿は、掲載者用の画面があることが多いです
直せない先は、運営元に修正をお願いする
問い合わせフォームから、正しい表記と変更した理由を伝えます
移転や番号変更のときに使う「直す先の一覧」として残す
次に変わったとき、この一覧の順に直せば漏れにくくなります
ずれやすいのは、こんなところ
表記のずれは、同じ内容を人によって違う書き方で入力したときに起きます。よく見かけるのは次のようなところです。
| ずれやすいところ | 例 |
|---|---|
| 会社の種類の位置と省略 | 「株式会社〇〇」「〇〇株式会社」「(株)〇〇」 |
| 店名の後ろに付ける言葉 | 「〇〇」「〇〇 博多店」「〇〇 本店」 |
| 住所の番地の書き方 | 「1丁目2番3号」「1-2-3」、ビル名や階の有無 |
| 数字の全角・半角 | 「1-2-3」「1-2-3」 |
| 電話番号 | 移転前の番号、携帯の番号、代表と店舗の番号が混在 |
どれが正しいかより、1つに決めて全部そろえるほうが大事になります。住所の番地は「1-2-3」でも「1丁目2番3号」でも構いませんが、ホームページ、Googleビジネスプロフィール、ポータルサイトで同じ書き方にしておくと、同じお店の情報だと読み取ってもらいやすくなります。

ネットの外にも目を向けてください。名刺・ショップカード・パンフレット・チラシで表記が違っていると、そこから検索した人や、記事を書く人がそのまま違う表記を写してしまいます。印刷物を刷り直すときに、ネット上の表記とそろえておくと安心です。
載っている先の探し方
探すときは、Googleで社名・店名と電話番号をそれぞれ検索します。電話番号で検索すると、店名の書き方が違うページや、移転前の住所が残ったページも見つかりやすくなります。
旧店名や旧住所で検索してみるのも1つの手です。何年も前に登録したまま忘れていたポータルサイトが出てくることがあります。
Googleビジネスプロフィールの整え方そのものは「MEO対策とは?Googleビジネスプロフィールの整え方」で項目ごとに書いているので、あわせて見てください。
名前を書いてもらうには、書く側にとっての理由が要る
表記がそろったら、次は名前を書いてもらう機会を増やしていきます。ここで気をつけたいのは、記者もお客さまも、頼まれたから書くのではなく、書きたい話題があるから書くという点です。手段を並べるだけでは名前は増えないので、それぞれ何があれば書いてもらえるかと、難しいところをセットで見ていきます。
取引先や団体の名簿に、正しい情報で載せてもらう
一番手軽なのは、すでにつながりのある先です。取引先の「主な取引先」、商工会議所や業界団体の会員紹介、商店街のお店の一覧などに、自社が載っているかを確かめます。
載っていても、旧社名や旧住所のままになっていることがよくあります。担当者に正しい表記を伝えて直してもらうだけでも、サイテーションの整理になります。リンクを付けてもらう頼み方は、先ほどの被リンクの記事に書いています。
地域の情報誌や新聞、業界紙に取り上げてもらう
記事にしてもらうには、記者が「読者に伝えたい」と思える話題が要ります。新しい商品やサービスを始めた、地域の催しに協力した、珍しい技術で困りごとを解決した、といった、いつ・誰が・何をしたのかがはっきりした話です。
送るのは、何を・いつから・誰に向けて始めたのかと、写真、連絡先をまとめた案内で構いません。ただ、取り上げるかどうかは媒体が決めるので、送っても載らないことはよくあると考えておきましょう。話題を作るところから始めるので、時間もかかります。
掲載料を払って載せてもらう記事は、広告として扱われます。広告であることが読んだ人に分かる形で載っていれば、ステルスマーケティングの規制の対象にはなりません。取材記事とは別の、お金をかけて知ってもらう手段として考えておきましょう。
体験した人に、口コミを書いてもらう
Googleマップのクチコミや、SNSでの感想も、名前が書かれる大事な場所です。Googleは、お店のQRコードやクチコミ用のリンクを使って、利用した人に投稿をお願いするやり方を案内しています。
ただ、お願いしても、書いてもらえるのはほんの一部です。帰り際に声をかけるだけでなく、「写真を撮って誰かに見せたくなる」「人に話したくなる」体験があるかどうかが、書いてもらえるかを分けます。料理でいえば、盛り付けがきれいな一皿は、頼まなくても写真に撮られますよね。
ここで守らないといけないのが、見返りの扱いです。Googleは、クチコミを書いてもらう代わりに、無料や割引で商品やサービスを提供することを、虚偽のエンゲージメントとして固く禁じています。「口コミを書いたら1品サービス」のような呼びかけは、Googleマップでは使えません。
SNSで話題にしてもらう
SNSは、お客さまが自分から名前を出してくれる場所です。とはいえ、見るものがあふれている中で、お店の名前を出して投稿してもらえるのは、その人が誰かに伝えたいと思ったときに限られます。
そのお店ならではの商品や体験、季節ごとの新しい話題など、投稿したくなる中身を作り込むところから始まります。タグ付け用のアカウント名や、写真を撮りやすい場所を用意しておくのは、その中身があってこそ効いてくる工夫になります。
もう1つ忘れたくないのが、名前を見て調べてくれた人の行き先です。検索して開いたホームページに、話題になった商品の説明や、お店の強みが書かれていなければ、せっかく興味を持った人もそこで離れてしまいます。名前が広まるほど、受け皿になるホームページの中身が問われます。
インフルエンサーに紹介を頼むときは、広告と分かる形にする
お金や商品を渡してインフルエンサーなどに紹介を頼むと、その投稿は広告として扱われます。2023年10月1日から、広告であることを隠した表示(ステルスマーケティング)は景品表示法の違反になりました。
規制の対象になるのは、頼んだ側の事業者です。依頼して投稿してもらうときは、広告やPRであることが見た人に分かる書き方にしてもらいましょう。
避けたいのは、書き込みを買うことと、自作自演
サイテーションを増やそうとするときに避けたいのは、お金や見返りで書き込みを集めることと、自分で書いたものをお客さまの声に見せかけることの2つ。どちらも、見つかったときに失う信用のほうが大きくなります。
| やってはいけないこと | なぜまずいか |
|---|---|
| 見返りを渡してクチコミを書いてもらう | Googleのポリシーで禁止されている。クチコミの削除やプロフィールの制限につながるおそれがある |
| 社員や知人に、お客さまのふりをして書いてもらう | Googleは、クチコミは実体験に基づく必要があるとしている |
| 頼んで書いてもらった投稿に、広告であることを書かない | ステルスマーケティングとして景品表示法の違反になる |
| 中身のない登録サイトに、手当たりしだいに社名を載せる | 載せる先が増えるほど、移転や番号変更のときに直せない古い情報が残る |
「サイテーションを増やします」「ポータルサイト数百か所に一括で登録します」といった営業を受けたら、どのサイトに、誰が、どんな内容で載せるのかを聞いてみてください。
Googleは、地図の順位をお金で上げることはできないとしています。載せた先の一覧がもらえない、あとで自分で直せない、という作業は、引き受けないほうが無難です。
アディザインに相談する場合
表記をそろえる、名簿の情報を直してもらう、話題になる中身を考える、といった取り組みは、自社のことを一番よく知っている社内で進められます。まずは社名と電話番号で検索して、載っている先を書き出すところから始めてみてください。
Googleビジネスプロフィールの整備や、ホームページの内部の見直し、検索から来てくれた人に強みが伝わるページの作り込みまで含めて相談したい場合は、SEO・AIO対策のページで、どこからお手伝いできるかをご覧ください。AIに自社のことを正しく答えてもらうための書き方は「AIO対策とは?SEOとの違いとAIに引用されやすいページの作り方」にまとめています。最新の内容と料金は、各ページで確認してください。
よくある質問
Q. サイテーションとNAPは同じ意味ですか?
同じではありません。サイテーションは、社名や店名などがほかのサイトやSNSに書かれていること全体を指します。NAPは店名・住所・電話番号の3つのことで、サイテーションの中でも特に表記をそろえておきたい情報、という関係です。
Q. 悪い口コミも、サイテーションになりますか?
名前が書かれているという意味では当てはまります。ただ、Googleは良い評価と悪い評価の両方があるほうが、見る人にとって信用しやすいと説明していて、クチコミに返信して自社の考えを伝えることを勧めています。削除を目的に見返りを渡すことは、ポリシーで禁止されています。
Q. 自社の名前がどこに書かれているか、定期的に確かめる方法はありますか?
無料のGoogleアラートに社名や店名を登録しておくと、新しく見つかったページをメールで受け取れます。すべての言及が届くわけではないので、年に1回くらいは社名と電話番号で検索して、一覧を見直しておくと安心です。
Q. 表記をそろえたら、すぐに地図の順位は上がりますか?
すぐに上がるとは限りません。Googleは、地図の検索結果は関連性・距離・知名度を組み合わせて決めるとしていて、探している人との距離のように、自社では変えられない要素も含まれます。表記をそろえるのは、正しい情報で見つけてもらうための土台と考えてください。