「リスティング広告を始めたいのですが、自分たちでやるのと任せるのと、どちらがいいですか」というご相談をよくいただきます。
分かれ目になりやすいのは、毎月かける広告費の大きさと、数字を見て直す時間を社内で取れるかどうかです。
費用は「広告費」と「運用手数料」に分かれています。広告費は広告を出す媒体(GoogleやYahoo!)に払うお金で、運用手数料は運用を任せた会社に払うお金です。この2つを混ぜて考えると、見積りの比較がうまくいきません。
この記事では、2つの費用の中身と金額が動く理由、外注か自社かの分かれ目、始める前に決めておくことを整理しました。見積りで確認しておきたい点もまとめています。広告とホームページを一緒に手がけている制作会社の目線で書いています。
費用は、媒体に払う広告費と、運用会社に払う手数料の2つです
リスティング広告は、検索した人に表示される広告です。検索広告の広告費は、広告が表示されただけでは発生せず、クリックされたときに発生します。1クリックあたりの金額(クリック単価)が積み上がって、月の広告費になります。
Googleの公式ヘルプによると、実際に請求されるクリック単価は、順位が1つ下の競合の広告に勝つために最低限必要な金額で、多くの場合は自分で決めた上限より低くなります。
LINEヤフー広告の検索広告も、クリックされたときに費用が発生する仕組みです。
もうひとつの運用手数料は、広告の設定・調整・報告を任せる費用で、決め方は会社ごとに違います。広告費に対する割合で決める会社もあれば、月額の固定にする会社もあります。
運用会社に払う費用には、毎月の手数料のほかに、最初の設定にかかる初期設定費がある会社もあります。ページや広告素材を新しく作る場合は、制作費が別に加わります。
| 費用 | 払う先 | 何に対するお金か | 金額が動く理由 |
|---|---|---|---|
| 広告費 | 媒体(Google・Yahoo!など) | クリックされた分 | 競合の数、キーワード、月の予算の上限 |
| 運用手数料 | 運用を任せる会社 | 設定・調整・毎月の報告 | 任せる範囲、広告費の大きさ、会社の料金の決め方 |
| 初期設定費 | 運用を任せる会社 | アカウントの作成・最初の設計 | 設計の細かさ、キーワードの数 |
| 制作費 | 制作会社 | 着地するページ・広告に使う画像や動画 | 新しく作るか、今あるものを使うか |
出典: Google 広告ヘルプ「実際のクリック単価(CPC)」、LINEヤフー広告「検索広告の費用/料金」(2026年9月21日確認)
見積りを見るときは、手数料の金額だけでなく、その手数料が広告費のどの範囲にかかっているかを確かめてください。広告費が少ない月でも最低額がかかる形の会社もあるので、月の広告費が小さいうちは、手数料の割合が思った以上に重く感じられることがあります。
広告費は、自分で上限を決められます
広告費には、あらかじめ上限を決めておけます。
Googleの場合、1日の平均予算を設定すると、1か月に請求される費用は「1日の予算×30.4」を超えません。
一部の日は1日の予算の2倍まで使われることがありますが、月全体では上限を超えないように調整されます。LINEヤフー広告も、1日分の予算の上限を設けて使いすぎを防げます。
「広告を出したら、いくら請求されるか分からない」という心配は、予算の設定で抑えられます。任せる場合も、上限額は自社が決めて運用会社に伝えます。
出典: Google 広告ヘルプ「費用の上限について」(2026年9月21日確認)
金額が変わる3つの要因
広告費と手数料は、それぞれ違う理由で動きます。同じ広告でも、競合の多さ・任せる範囲・着地ページの3つで総額が変わります。
競合の数と、狙うキーワード
同じ言葉を狙う会社が多いほど、クリック単価は上がりやすくなります。Googleは、入札額(1クリックに払ってよいと自分で設定する上限の金額)に加えて広告と着地ページの質などを合わせた「広告ランク」で掲載を決めています。入札額が低くても、キーワードとページの関連性が高ければ、よい位置に出せる場合があります。
任せる範囲
設定と毎月の調整だけを任せるのか、広告文の作成、着地ページの改善、レポートの打ち合わせまで任せるのかで、手数料は変わります。広告を出す前のキーワードの選び方や、広告文の下書きは、今はAIに頼んで自社で下書きを作ることもできます。任せる範囲を絞れば、手数料も抑えやすくなります。
広告運用代行は運用手数料だけが収益になる仕事なので、業界的には最低20万円程度からのご案内になることが多いです。この収益の仕組みが理由で、そこまで予算を組めない会社との間ではずれが起きやすくなります。
着地ページがあるか
広告をクリックした人が最初に見るページ(着地ページ)が、広告の内容と合っていなければ、クリックされても問い合わせにつながりません。ページを新しく作るか、今のページを直すかで、制作費が加わります。LPの費用の考え方は、ランディングページ(LP)の費用の記事にまとめています。
外注か自社かは、次の4つで考えます

外注が向いているか、自社で始めたほうがよいかは、次の4つを目安に考えられます。
- 月の広告費小さいうちは、自社で小さく試して感触をつかむほうが、手数料の比率を気にせず始められます。広告費が大きくなるほど、調整の精度が結果に響くので、任せる価値が上がります。
- 数字を見る時間広告は出して終わりではなく、週に1度ほどは数字を見て設定を直すものです。その時間が取れない場合は、任せたほうが続きます。
- 社内の詳しい人広告の画面に慣れた人がいれば、自社運用が続けやすくなります。いない場合は、最初の設計だけ相談して、その後は自社で回す進め方もあります。
- 着地ページの状態ページが広告に合っていない場合は、広告の調整より先にページの直しが必要です。ページと広告を同じ会社が見ると、直す判断が早くなります。
迷う場合は、まず自社で小さな予算から始め、設定に詰まったところだけ相談する進め方が、費用を抑えやすい選択肢です。自社で始めるなら、広告文やキーワード候補の下書きにAIを使えます。ただ、AIの出した案がそのまま最適とは限らないので、数字を見ながら直していくところは人が担います。
私たちの基本のスタンスとして、ホームページ制作やSNS運用と同じく、リスティング広告もまずは内製化(自社での運用)をおすすめしています。書籍などで学びながら自分である程度運用できるようになってから代行を検討したほうが、任せる相手を判断しやすく、実際の運用の質も自分で把握しやすくなります。人手や時間がどうしても足りない場合に、代行という選択肢が出てくる、という順番です。ウェブサイトの運用も含めた内製化の支援は、内製化支援のページにまとめています。
始める前に決めておくこと
外注でも自社でも、始める前に「成果の数え方・1件に払える金額・月の上限」の3つを決めておくと、見積りも設定も的確になります。あわせて、着地ページと広告アカウントの持ち主も整理しておきます。リスティング広告に限らずWeb広告全般を初めて検討する方向けの手順は、Web広告の始め方にまとめています。
- 何を成果と数えるか問い合わせ、資料請求、来店予約など、広告の成果として数える行動を1つ決めます。
- 1件にいくらまで払えるかたとえば、1件の問い合わせから成約する割合と、成約1件の利益が分かれば、1件の獲得に払える金額の目安が計算できます。計算の例として、成約1件の利益が5万円で、問い合わせの2割が成約するなら、問い合わせ1件に払えるのは1万円が目安です。
- 月の広告費の上限上の計算と、試したい期間から、月の上限を決めます。
- 着地ページ広告のクリック先を決めます。今のホームページのどのページがよいか、新しく作るかを整理します。
- 広告アカウントの持ち主広告アカウントは自社名義で作り、運用会社にはアクセス権を付与する形にしておくと、契約が終わったあとも設定と実績のデータが自社に残ります。Googleでは、招待した相手にアクセス権を付与する機能があります。
出典: Google 広告ヘルプ「Google 広告アカウントへのアクセス権を管理する」(2026年9月21日確認)
計測の設定(問い合わせフォームの送信や電話のタップを、広告の画面で数えられるようにする設定)も、始める前に済ませておく項目です。問い合わせがあったことを広告の画面で確認できなければ、どの設定が効いているのか判断できません。
運用会社に見積りを頼むときに聞くこと
見積りが2社以上そろったら、金額の大小より先に、手数料がかかる範囲と毎月の報告の中身を横並びで確認します。次の点が確認項目です。
- 手数料がかかる範囲広告費だけにかかるのか、制作費まで含めてかかるのか。
- 最低額と初期費用広告費が少ない月に、手数料の最低額がかかるか。
- 毎月の報告の中身広告費・表示回数・クリック数・問い合わせ件数・1件あたりの獲得単価(問い合わせ1件を得るのにかかった広告費)・翌月の改善方針まで出るか。
- アカウントの名義と、契約が終わったあとの扱い自社名義で作るか。データを引き継げるか。
- 着地ページの改善が範囲に入るか入らない場合は、別の見積りが必要になるか。
- 最低の契約期間と、解約の条件期間の縛りがあるか。
広告費を誰が媒体に払うのか(自社が直接払うのか、運用会社を通して払うのか)も、確認しておくと後から食い違いません。ホームページ制作会社の見積りを比べる視点は、制作会社の選び方の記事も参考になります。
しっかりした会社に運用を任せる場合は、それなりにスタートの広告費が大きくなる前提で考えておいてください。手数料を抑えるために広告費まで削ってしまうと、そもそもデータがたまらず、任せた効果を判断できなくなってしまいます。
広告もホームページも、まとめて相談できます
広告の成果は、広告の設定だけでなく、クリックした人が見るページとのつながりで決まります。私たちは広告運用と、着地するページの制作・改善、広告に使う動画素材の制作を、同じ会社で手がけています。
いま出している広告の運用だけを任せる、といったご相談にも対応しています。料金と進め方はWeb広告運用のページにまとめています。料金はこれからも見直しが入るため、この記事には金額を載せていません。最新の内容は各ページでご確認ください。
広告で早く反応を取りながら、中長期の流入はSEOで積み上げる、という併用も選べます。SEOの基本はSEO対策は自分でできる?で整理しています。
よくある質問
Q. リスティング広告は、少額でも始められますか?
始められます。広告費はクリックされた分だけかかり、1日の予算の上限も自分で決められます。少額から始めて、反応を見ながら増やす進め方もあります。ただし、予算が小さすぎると、データがたまるまでに時間がかかります。
Q. 運用代行に頼むと、広告費とは別に手数料がかかりますか?
はい。広告費は媒体に払い、手数料は運用を任せた会社に払う、別々のお金です。手数料の決め方は会社によって違うので、見積りで「何にかかる手数料か」を確認してください。
Q. すでに自社で出している広告の運用だけを、任せることはできますか?
多くの場合、対応できます。アカウントの状況で進め方が変わるため、まず現状の設定と数字を見てから、任せる範囲を決める形になります。
Q. 広告の成果は、どのくらいで分かりますか?
広告の設定を直しながらデータを集めるので、最初の数か月は試す期間と考えてください。1回の集計で判断せず、期間を決めて数字の推移を見ます。