ECサイトは、インターネット上で商品を見せて、注文から支払いまで受け付けるネットショップのことを指します。ECは「電子商取引」の略で、会社のホームページとの一番の違いは、サイトの中で買い物が完結する点にあります。
始めるときに最初に決めるのは、売る場所だと思います。楽天市場やAmazonのような大きな通販サイト(モール)に出店するのか、BASEやSTORESのようにネットショップの機能を借りて自分のショップを持つのか、制作会社に頼んで作るのか。この選び方で、そのあとの準備も、お客さまの集め方も変わるからです。
たとえば、モールにはすでに買い物をする人が大勢いますが、同じような商品を売る店も並んでいます。自社のショップは自由に作れる代わりに、お客さまを呼ぶところから自分で始めます。
この記事では、ECサイトの意味、売る場所の違いと選び方、写真・決済・集客まで含めて始める前に決めておくことを書きました。費用の目安は別の記事に分けています。ホームページの制作と、ネットショップの構築・運用をお手伝いしている会社の目線でまとめました。
ECサイトとは、商品を見せて注文と支払いまで受け付けるネットショップ
ECサイトでできることは、商品の紹介、カートに入れる、住所の入力、支払い、注文の受付です。お客さまが店に来なくても、24時間いつでも買い物が終わる点が特長になります。
会社のホームページと比べると、必要な仕組みが増えます。
| 項目 | 会社のホームページ | ECサイト |
|---|---|---|
| 目的 | 会社や事業を知ってもらい、問い合わせにつなげる | 商品を買ってもらう |
| 買い物の場所 | サイトの外(電話・メール・店頭) | サイトの中で完結する |
| 必要な仕組み | ページの表示、問い合わせフォーム | 商品の管理、カート、決済、在庫、配送の設定 |
| 載せなければならない表記 | 会社情報、個人情報の扱い | 上に加えて、特定商取引法に基づく表記 |
ネットで買う人が増えている点も、始める理由になります。経済産業省の調査では、2024年の物販系分野のBtoC(企業から消費者への販売)のEC市場規模は15兆2,194億円で、前年から3.7%増えました。一方で、買い物全体のうちネットで買われた割合(EC化率)は9.78%です(経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」、2026年10月1日確認)。
ネット通販は伸びていますが、買い物全体では、まだ店頭で買う人のほうが多い状況です。実店舗をお持ちの会社は、店とネットを別々に考えず、お客さまの買い方が増えたと捉えると進めやすいと思います。
ネットショップを始める方法は、いくつかある
ネットショップを始める方法は、売る場所の違いで分けると次のとおりです。
- モールに出店する楽天市場やAmazonなど、すでに多くの人が買い物に来る通販サイトで売ります
- カートサービスで自分のショップを持つBASE、STORES、Shopifyなど、ネットショップの機能を月額などで借りて、自分のショップを開きます
- 制作会社に頼んで、自社のショップを作るデザインや機能を、自社の売り方に合わせて作ります
- 無料で公開されているソフトを入れて、自分で作る機能を自由に足せますが、設定と保守に専門知識が要ります
- ゼロから開発する独自の仕組みが必要な大規模な販売向けです
- SNSやフリマアプリで売る手軽に始められますが、商品が増えると管理が追いつきにくくなります
このうち、中小企業の経営者や担当者が最初に検討しやすいのは、上の3つです。専門知識がなくても始められる、日本の中小の店でよく使われている、という2つの基準で絞りました。下の3つは、社内に詳しい人がいる場合や、独自の販売の仕組みが必要な場合に検討します。
| 方法 | 向いている場面 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| モール出店 | 買い物をする人がすでに多い場所で、早く売り始めたい | 同じような商品を売る店が並び、価格や広告で競うことになりやすい。店のデザインや機能に自由が少ない |
| カートサービス | 小さく始めて、ショップのデザインや見せ方を自分で決めたい | モールのようにお客さまが自然に集まる場所ではないので、呼ぶ方法を自分で用意する |
| 制作会社に頼む自社EC | 商品の独自性が高い、決済や在庫の連携など特別な仕組みが要る | 費用と制作期間がかかる。公開後の運用と集客の準備も必要 |
費用は、サービスごとに仕組みが違います。BASEは、初期費用と月額費用が0円のスタンダードプランがあり、売れたときに手数料がかかる仕組みです(BASE)。STORESにも、初期費用0円のフリープランがあります(STORES)。Shopifyは、無料トライアルから始められます(Shopify)。
モールは、楽天市場が月額の出店料と売上に応じた利用料の組み合わせになっており(楽天市場 出店案内)、Amazonは月額または1件ごとの出品料に、カテゴリーごとの販売手数料が加わります(Amazon 出品ガイド)。どれも、最新の金額と条件は公式ページで確認してください。制作会社に頼む場合の金額の目安と、金額が変わる理由は「ECサイト構築の費用はいくら?」にまとめています。
売る場所は、ライバルの多さと、自社のお客さまの有無で選ぶ
売る場所は、「同じような商品がモールにどのくらい出ているか」と「すでに連絡を取れるお客さまがいるか」で選べます。まず、売りたい商品の名前を楽天市場とAmazonで検索して、並び方を見てください。
あなたの場合
モールから始める
買い物をする人がいる場所で、まず売れる経験を積みます
「モールから始める場合」の章を読む
あなたの場合
カートサービスで自社ECを始める
小さく始めて、自分のお客さまに向けて見せ方を育てます
「カートサービスで自社ECを始める場合」の章を読む
あなたの場合
制作会社に相談する
仕組みが特別なら、作り方の切り分けから相談したほうが早く進みます
「制作会社に頼んで自社ECを作る場合」の章を読む
モールから始める場合
自分でどちらか判断できないときは、まずモールから始めるのがいいと思います。ネットショップで一番難しいのは集客で、モールには買い物をする人がすでにいるからです。モールには決済の仕組みがすでに用意されているので、自分で決済の準備をしなくて済む点も、小さな会社には助かります。
ここで売れる経験を積み、どんな商品がどんな言葉で売れるかが分かってから、自社のショップを足す順番が進めやすいと思います。
カートサービスで自社ECを始める場合
店頭やSNS、メールですでにお客さまとつながっているなら、BASEやSTORES、Shopifyのようなカートサービスで自分のショップを持つ選択肢があります。経験がないうちは、機能を一から作るより、すでにあるサービスを使って月々の費用を抑えるほうが、続けやすいと思います。
ショップのデザインや、お客さまへのメール、クーポンも自分で決められます。その分、お客さまに知らせる方法は自分で用意します。
制作会社に頼んで自社ECを作る場合
自社のショップを選ぶのは、モールに同じような商品が少ない独自性の高い商品を売る場合や、自社の名前で指名して買ってもらえる見込みがある場合だと思います。定期購入や会員ごとの価格など、カートサービスの機能にない売り方が要るときも、作り込みが必要になります。
売る場所を選んだら、始める前に決める4つのこと
何を、誰に売るか
商品の強みと、ライバルの状況
商品写真と商品情報
撮るもの、書く内容
決済・送料・返品のルール
支払い方法、送料、返品の条件、必須の表記
お客さまへの知らせ方
店頭、SNS、メール、広告
「売る場所」のあとに、この順で決めると、見積りや準備がぶれにくくなります
何を、誰に売るか
最初に、売りたい商品の強みと、同じような商品を売っているライバルの状況を紙に書き出します。ここが曖昧なまま「作って売ってみよう」で進めると、見積りを頼んだあとに必要な機能が積み増しされ、予算が合わなくなりがちです。
書き出すのは3つで足ります。誰に売るのか、その人はなぜ他の店でなくこの店で買うのか、価格で比べられたときにどう答えるのか。答えが書けない部分は、いまの状態で売り出すと苦戦しやすい部分です。
何を、誰に売るのかを紙に書き出してから、見積りや出店の申し込みに進んでください。
商品写真と商品情報
ネットショップのお客さまは、商品を手に取れません。写真と商品の説明が、店頭の接客の代わりになります。手持ちの商品写真が暗かったり、背景が雑然としていたりすると、今の時代は売れにくいと思います。撮り直しが必要になって、準備の費用と期間が膨らむことはよくあります。
最初に集めるのは、次のものです。
- 商品の写真正面、横、裏、使っている場面、大きさが分かる小物と並べたもの
- 商品の説明素材、サイズ、重さ、使い方、保管の方法、原材料や産地
- よく聞かれる質問店頭やメールで聞かれる内容が、そのまま商品ページの説明になります
特に食品や化粧品は、表示しなければならない項目が決まっているものがあります。扱う商品の決まりは、保健所や業界団体に事前に確かめてください。
決済・送料・返品のルール
支払い方法、送料、返品の条件は、先に決めてからショップに入力します。ネットショップは、法律でこれらの表示が決まっています。特定商取引法では、通信販売の事業者に、事業者名・住所・電話番号、価格、送料、支払い方法、返品の条件などの表示を求めています(消費者庁 特定商取引法ガイド、2026年10月1日確認)。
決めるときは、実際に発送する人が無理なく守れる内容にします。送料の設定が実際の荷物と合わないと、売れるほど赤字になることもあります。出荷する側の担当者と一緒に、梱包にかかる時間と運賃を確かめておきます。
また、モールとカートサービスでは、決済の種類や入金のタイミングが違います。自社に入金される日と、仕入れの支払いのタイミングが合っているかも見ておいてください。
お客さまへの知らせ方
公開後に一番つまずくのは、集客です。「作ったのに人が来ない」は、ネットショップで特に多い失敗です。モールに出店しても、モールの中で自社の商品が見つかりやすい状態を作る工夫が要ります。
店頭にお客さまがいる会社は、レジの横や商品の棚に、ネットでも買えることを知らせる棚札を置くのが、手軽な入口になります。

ただし、棚札を置くだけで、買ってもらえるわけではありません。お客さまは、その場で「ネットで買えると便利そうだ」と思わなければ、読み取りません。「送料が無料になる」「店頭にない限定の味がある」のような、読み取る理由を一緒に書いておく必要があります。
そのうえで、読み取った先のショップで、強みと商品の良さが伝わるかを確かめてください。集客と注文は別の話です。来てもらったのに商品ページが弱いと、そのまま離れます。
SNS、メール、広告など、お客さまに知らせる方法ごとの考え方は「ホームページ集客の方法一覧」に書きました。制作会社に相談する前に、自分なりの集客の見立てを持っておくのがいいと思います。
ECサイトの構築を相談する場合
売る場所が決まらないときは、まず売りたい商品と、いまのお客さまの状況を教えてください。モールから始めるのがいいのか、自社のショップを作るのがいいのかを、一緒に整理できます。
商品写真の撮影や、ショップのデザイン、決済・配送の設定、公開後の運用まで相談したい場合は、ECサイト構築のページを見てみてください。アディザインも、自社でネットショップを運営しています。費用の目安は「ECサイト構築の費用はいくら?」にまとめています。
最新の内容と料金は、ECサイト構築と料金ページで確認してください。
よくある質問
Q. ECサイトとネットショップは、同じ意味ですか?
ほぼ同じ意味で使われます。ECサイトは、商品やサービスの売買ができるWebサイト全体を指す言葉で、ネットショップは、その中でも商品を売る店を指すことが多いです。
Q. 個人や小さな会社でも、ECサイトは始められますか?
始められます。BASEやSTORESのようなカートサービスには、初期費用がかからないプランがあり、最短で当日から売り始められるものもあります。ただし、特定商取引法に基づく表記は、個人でも事業として売る場合に必要です。
Q. ECサイトを始めるのに、何が必要ですか?
商品、商品の写真と説明、支払い・送料・返品のルール、発送の体制の4つです。ショップの機能そのものは、カートサービスを使えば用意されています。
Q. 自社のショップとモールは、両方使ってもいいですか?
両方使う会社もあります。モールで買い物をする人に知ってもらい、リピートのお客さまを自社のショップに案内する、という分け方があります。ただし、在庫の管理が二重になるので、始めるときは1つの場所に絞るほうが運用しやすいと思います。
Q. 作ったあとは、自分で商品を追加できますか?
カートサービスやモールは、管理画面から商品を追加できます。制作会社に頼む場合も、商品の追加や更新を自分でできるように作ってもらうことが多いです。依頼する前に、公開後の更新を誰がどこまでやるかを確かめておいてください。