SNSマーケティングは、SNSを使って商品やお店を知ってもらい、選んでもらい、また来てもらうための取り組み全体を指します。自社のアカウントで投稿するのはその1つで、ほかにSNS広告、影響力のある人に紹介してもらう方法、お客さまの投稿を増やす方法、SNS上の声を調べる方法などがあります。
どれから始めるかは、お客さまに見せられる中身と、使えるお金・時間で選ぶと迷いにくくなります。
手法ごとに、準備するものもお金のかかり方も違うからです。たとえば自社アカウントの投稿は無料で始められますが、続けるための時間がかかります。SNS広告はお金を払えばすぐに届けられる反面、止めた日に表示も止まります。
SNSマーケティングは、投稿のほかに何が含まれるのかが外から見えにくい言葉です。この記事では、主な手法ごとに何をするか、見たくなる中身と来た先の整え方、難しいところを並べ、自社がどれから始めるかを選べる診断も用意しました。インフルエンサーへの依頼や口コミ、プレゼントの企画でつまずきやすい法律の決まりも、消費者庁の資料をもとにまとめています。
SNSマーケティングは、投稿だけでなくSNSを使った販促の仕組み
SNSマーケティングは、自社のアカウントを運用することだけを指す言葉ではありません。SNSの上で、お客さまに知ってもらう・選んでもらう・また来てもらうために行うこと全部が入ります。
主な手法を並べると、次のようになります。
| 手法 | 何をするか | かかりやすいもの | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 自社アカウントの運用 | 自社のアカウントで投稿し、コメントやメッセージに返す | 毎週の時間と、写真や動画の素材 | 長く続けて、ファンを増やしたいとき |
| SNS広告 | InstagramやLINEなどの画面に、お金を払って広告を出す | 広告費と、画像や文面の作り直し | 今すぐ多くの人に届けたいとき |
| 紹介してもらう | フォロワーの多い人(インフルエンサー)に、商品やお店を紹介してもらう | 依頼の費用と、相手を探して頼む手間 | 自社のアカウントではまだ届かない人に知ってもらいたいとき |
| お客さまの投稿を増やす | 来てくれたお客さまに、写真や感想を投稿したくなる場面を作る | お店や商品の見せ方を整える手間 | 見た目で魅力が伝わる商品やお店 |
| SNS上の声を調べる | 自社名や商品名、業種名で検索し、お客さまの声を集める | 定期的に調べる時間 | 商品やサービスの改善、投稿のネタ探し |
このほかにも、ライブ配信での販売、SNSのショップ機能、SNSを使った採用活動、プレゼントの企画(キャンペーン)など、目的に合わせた使い方があります。この記事では、多くの会社やお店が最初に検討する上の5つを中心に書き、プレゼントの企画は「お客さまの投稿を増やす」の章で扱います。
「SNS運用」と似た言葉ですが、SNS運用は上の表の1行目、自社アカウントの運用を指すことが多いと思います。運用の始め方(目的の決め方・媒体の選び方・見る数字)は「SNS運用の始め方は?」にまとめています。
自社がどれから始めるかは、4つの質問で見当がつく
最初の1つは、お客さまに見せられる中身があるか、使えるのはお金か時間かで選ぶと絞りやすくなります。
次の質問に「はい・いいえ」で答えると、最初に考える手法と、その詳しい章が出てきます。
あなたの場合
お客さまの投稿を増やす
来てくれた人が撮りたくなる場面を作り、その投稿を新しいお客さまに見てもらいます
「お客さまの投稿は」の章を読む
あなたの場合
自社アカウントの運用
見た目の魅力や、よく聞かれる質問への答えを、自社のアカウントで続けて出します
「自社アカウントの運用は」の章を読む
あなたの場合
SNS広告
時間が取りにくいなら、広告で届ける方法から考えます。来た先のページを先に整えてください
「SNS広告は」の章を読む
あなたの場合
SNS上の声を調べる
まず、お客さまや同業がSNSで何を話しているかを調べ、見せる中身を決めるところから始めます
「SNS上の声を調べると」の章を読む
あくまで見当をつけるためのもので、実際には、自社アカウントの運用を土台にして、広告や紹介を足していく組み合わせが多くあります。
自社アカウントの運用は、続けるほど効くが時間がかかる
自社アカウントの運用は、無料で始められて、続けるほど投稿がたまっていく手法です。難しいのは、最初の数か月、続けることだと思います。
見たくなる中身と、次に進む仕掛け
SNSは情報がどんどん流れていくので、一瞬で興味を持ってもらえない投稿は、そのまま読み飛ばされます。お客さまはほかのSNSや動画、ゲームなど見るものが多く、会社の投稿をいちいち見ていません。お店の外観や商品の写真を並べるだけでは、手を止めてもらいにくくなります。
手が止まりやすいのは、見た人が「自分に関係がある」「続きが気になる」と思える中身です。
- 完成までの途中を見せる焼き菓子なら、生地を混ぜるところから焼き上がりまでを15秒の縦型動画に。最後の1枚だけを見せるより、見ている時間が伸びやすくなります
- 続き物にする「新メニューができるまで」を試作・味見・完成の3回に分けて出すと、1回目を見た人が次の回を待つ理由ができます。毎回の最後に「次回は試食会の様子です」と予告を入れます
- 選ばせる「新作は2色です。店頭に出す色、どちらがいいと思いますか?」のように問いかけて、コメントで答えてもらいます。選んだ人は、結果の発表も見に来やすくなります
そのうえで、見た人が次に進む先と、そこで得られるもの(空き状況・メニュー・初回の内容)を投稿ごとに用意します。投稿の型の決め方と、誘導の書き方の例は「SNS運用の始め方は?」にまとめています。
見に来た人が次に見るページを整える
投稿に興味を持った人が次に見るのは、プロフィールとホームページです。プロフィールの1行目で何の会社か分からない、リンク先のホームページが何年も更新されていない、という状態だと、そこで離れてしまいます。集めることと、問い合わせや来店につなげることは別の仕事なので、投稿を始める前に来た先を整えておいてください。
難しいところ
最初の数か月は、フォロワーも反応も少ないことがよくあります。忙しい時期に更新が止まり、そのまま再開しにくくなることもあります。週1〜2回でも続けられる本数を先に決め、写真や動画はまとめて撮る日を作ると、止まりにくくなります。
始める順番と、月1回見る数字も同じ記事に書いています。
SNS広告は、すぐ届くが、出すのをやめると届かなくなる
SNS広告は、InstagramやFacebook、LINE、Xなどの画面に、ふつうの投稿と並んで出る広告です。お金を払えば、まだ自社を知らない人にもすぐ届けられるのが一番の違いで、地域や年齢、関心ごとで出す相手を絞れます。
見たくなる中身と、次に進む仕掛け
広告は、ほかの投稿と並んで流れてきます。広告だと分かった瞬間に飛ばされることも多いので、最初の1秒で「自分のことだ」と思える中身が要ります。
- 「駅から歩いて5分、平日のお昼に使える個室があります」のように、場所・時間・相手を絞った一文で始める
- 料理や施術、施工の前と後のように、変化が一目で分かる写真や動画を使う
- 広告を押した先で何ができるか(空きを見る・初回の内容を見る)を、広告の文面にも書いておく
見に来た人が次に見るページを整える
広告をクリックした人が着くページ(着地ページ)が、広告の内容と合っていないと、多くの人がすぐに戻ってしまいます。個室の広告を出したのに、着いた先がお店のトップページで個室の説明がどこにもない、という状態です。
集め方とページがちぐはぐだと、広告費を払って、お客さまにならない人を集めることにもなります。たとえば「無料でもらえる」と呼びかけて集めた人に、有料のサービスの説明だけを見せても、期待とずれてしまいます。広告の呼びかけと、着いた先のページの中身を合わせるところまでが広告の準備です。
難しいところ
同じ画像を出し続けると反応が落ちやすいので、画像や文面を作り直す作業が続きます。広告費は止めれば表示も止まるので、自社アカウントやホームページの中身が育っていないと、止めた後に何も残りません。
広告の種類ごとの課金の仕組みは「Web広告の種類を比較」に、始めるときに決める順番は「Web広告の始め方」にまとめています。
インフルエンサーに紹介を頼むなら、フォロワーが自社のお客さまに近い人を選ぶ
フォロワーの多い人(インフルエンサー)に、商品やお店を紹介してもらう方法です。その人のフォロワーという、自社のアカウントをまだ見ていない人たちに、その人自身の言葉で紹介してもらえます。選ぶときは、フォロワーの数より、その人を見ている人が自社のお客さまに近いかを見てください。
見たくなる中身と、次に進む仕掛け
紹介してもらう投稿は、その人の普段の投稿の雰囲気に合っているほど、見ている人に受け入れられやすくなります。こちらで台本を細かく決めるより、伝えてほしい事実(商品の特徴・お店の場所・予約の方法)だけを渡し、言い方は相手に任せるほうが自然な投稿になります。
紹介を見た人が迷わないように、投稿に自社のアカウント名をタグで付けてもらい、自社のアカウントでも同じ時期に、その商品の詳しい投稿を出しておくと、見に来た人が続きを見られます。
見に来た人が次に見るページを整える
紹介を見た人は、まず自社のアカウントを開きます。そこで投稿が何か月も止まっていると、紹介の効き目が弱くなります。依頼する前に自社アカウントとホームページを整えておくと、紹介の効き目を生かしやすくなります。
法律の決まり(ステルスマーケティング規制)
2023年10月1日から、広告であることを隠した表示は、景品表示法で禁止されています。企業から頼まれた紹介の投稿は広告として扱われ、「広告」「PR」のように、広告だと分かる表示がないと違反になるおそれがあります。責任を問われるのは、紹介した人ではなく、依頼した会社やお店のほうです。
依頼するときは、広告だと分かる表示を入れてもらうことを、依頼の条件に書いておいてください。
- 出典: 消費者庁「ステルスマーケティングに関する景品表示法の規制」(2026年10月4日確認)
難しいところ
依頼の費用は、相手のフォロワー数や投稿の形で大きく変わり、公的にまとまった相場は見当たりません。紹介した日に反応があっても、続かないこともあります。相手の過去の投稿に、自社のお客さまに嫌われそうな内容がないかも、依頼の前に見ておく必要があります。
お客さまの投稿は、撮りたくなる場面を作ると増えやすい
来てくれたお客さまが、自分のSNSに写真や感想を投稿してくれる流れを作る方法です。投稿してほしいとお願いするより先に、思わず撮りたくなる場面を作るほうが、自然に増えやすいと思います。
見たくなる中身と、次に進む仕掛け
撮りたくなるのは、ほかでは見ないものです。
- 商品の見た目に、撮りたくなる理由を作る断面がきれいなサンドイッチ、その場で仕上げるデザート、季節ごとに変わる器など
- 撮る場所を用意する窓際の明るい席、店名の入った壁、商品を置いて撮れる台。明るさがあると、写真の出来がよくなります
- 投稿のときに使う言葉を伝えるテーブルに置くカードやレシートに、お店のアカウント名と、投稿に付けてほしいハッシュタグ(投稿を探すための目印の言葉)を書いておきます

お客さまの投稿は、それを見た友人や知人が「行ってみたい」と思う入口になります。自社のアカウントで紹介してよいかは、必ず投稿した本人に確かめてから使ってください。
見に来た人が次に見るページを整える
お客さまの投稿を見た人は、お店の名前で検索し、Googleマップやホームページで場所・営業時間・メニューを確かめます。ここが古いままだと、行こうと思った人が迷います。Googleマップの店舗情報の整え方は「MEO対策とは?」にまとめています。
法律の決まり(口コミの見返り・プレゼントの上限)
投稿や口コミの見返りに割引をする方法は、注意が必要です。消費者庁は2024年6月6日、Googleマップの口コミに星5つか星4つを投稿することを条件に、ワクチン接種の費用を割り引いていた医療機関に、景品表示法に基づく措置命令(違反をやめるよう命じる行政処分)を出しています。見返りを渡して書いてもらった口コミは、お店自身の表示として扱われることがあります。
- 出典: 消費者庁「医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2026年10月4日確認)
プレゼントの企画(キャンペーン)は、購入や来店を条件にするかどうかで、景品の額の上限の決まりが変わります。購入や来店を条件にすると上限があり、たとえば購入した人の中から抽選で景品を渡す場合、取引の額が5,000円未満なら、景品の最高額は取引の額の20倍まで、景品の総額は売上の予定総額の2%までです。購入や来店を条件にせず、フォローや投稿だけで誰でも応募できる企画は、この景品の上限の決まりは当てはまらないとされています。条件の付け方で扱いが変わるので、企画の前に消費者庁の資料で確かめてください。
- 出典: 消費者庁「景品規制の概要」(2026年10月4日確認)
難しいところ
プレゼント目当ての人ばかりが集まると、フォロワーは増えても、その後の来店や購入につながらないことがあります。景品は、自社の商品や体験のように、自社のお客さまになってほしい人が欲しがるものにしておくと、ずれにくくなります。
お客さまの投稿は、こちらで内容を決められません。思っていたのと違う写真や感想が出ることも含めて、お店の見せ方を整え続ける取り組みだと考えてください。
SNS上の声を調べると、投稿のネタと直すところが見つかる
SNS上で、自社や商品、同じ業種について話されていることを調べる方法です(ソーシャルリスニングとも呼ばれます)。お客さまが実際に使っている言葉が分かるので、投稿や広告の文面、ホームページの説明にそのまま生かせます。
やり方
- 各SNSの検索窓に、自社の名前、商品名、「地域名+業種名」を入れて、最近の投稿を見る
- 「どこで迷ったか」「何が良かったか」「何と比べていたか」を、月に1回、同じメモに書き足す
- よく出てくる質問や不満は、投稿のネタにし、ホームページのよくある質問にも足す
集めた声が多くなってきたら、ChatGPTなどの生成AIに貼り付けて「よく出てくる不満を多い順に分けて」と頼むと、分類の手間を減らせます。最後に何を直すかは、自分たちで決めてください。
難しいところ
小さなお店や会社は、自社について書かれた投稿がほとんど見つからないことも多いです。その場合は、同じ業種で反応の多いアカウントや投稿を見て、お客さまが何に反応しているかを調べる形に切り替えます。
批判的な投稿を見つけても、すぐに反論の返信をするのは避けたほうが安全です。事実と違う点があれば、自社のアカウントやホームページで、落ち着いて事実を説明します。
手法は「知ってもらう→選んでもらう→また来てもらう」の流れで組み合わせる
ここまでの手法は、別々に始めても構いませんが、つなげて考えると無駄が減ります。どの手法も、最後はホームページやお店で選んでもらえるかにかかっているからです。
知ってもらう
SNS広告、紹介の依頼、お客さまの投稿
見に来てもらう
自社のアカウントのプロフィールと、これまでの投稿
選んでもらう
ホームページ、予約ページ、Googleマップの店舗情報
また来てもらう
LINE公式アカウントでの案内、次に来たくなる投稿
声を集める
SNS上の声を調べ、投稿とホームページを直す
手法の名前は例です。自社で使う手法だけを、この順に並べてみてください
使う媒体は、自社のお客さまがいる場所から選びます。総務省の情報通信白書(令和7年版)では、LINEの利用率は2024年に94.9%で、60代でも91.1%が使っています(総務省「情報通信白書 令和7年版」、2026年10月4日確認)。多くの人が使っていることと、自社のお客さまがそこで情報を探していることは別なので、既存のお客さまに「普段どのSNSを見ていますか」と聞いてみるのが確実です。
効果を見るときは、手法ごとに数字を分けて記録します。広告ならクリックされた回数と着いたページでの問い合わせ、紹介の依頼なら紹介の前後での自社アカウントの訪問者、お客さまの投稿なら店頭で「SNSを見た」と言われた回数です。ホームページ側の数字の見方は「アクセス解析とは?」に書いています。
SNS以外も含めた集客の入口全体は、「ホームページ集客の方法一覧」で並べています。
自社でやるか、任せるか
アディザインでは、SNSの運用も広告の運用も、まず自社でやってみることをおすすめしています。うまくいく形が見えてから、足りない部分を任せるほうが、頼む内容が具体的になり、任せた相手の仕事も判断しやすくなるからです。人手や時間がどうしても足りない場合に、代行を選ぶ流れになります。
任せる場合も、いきなり全部を頼む必要はありません。何のために、誰に何を伝えるかという全体の設計だけを相談し、日々の投稿は自社で続ける進め方もあります。「思ったより反応が出ない」というご相談の原因を探ると、この設計がないまま投稿を続けているケースが多いです。
依頼先を選ぶときの費用の考え方は「SNS運用代行の費用はいくら?」に、自社で続けるか外注するかの判断は「インスタグラム運用は自社と外注どちら?」にまとめています。
アディザインのSNSの投稿・アカウント運用はSNS運用代行、SNS広告の運用はWeb広告運用のページで内容を確認できます。料金は今後見直される可能性があるため、この記事には金額を載せていません。ホームページ制作では、更新した内容をSNSの投稿に展開する作業までAIに任せられる仕組みを入れるプランもあり、ホームページ制作のページで紹介しています。
よくある質問
Q. SNSマーケティングとSNS運用は、何が違いますか?
SNS運用は、自社のアカウントで投稿や返信を続けることを指すことが多い言葉です。SNSマーケティングは、それに加えて、SNS広告、インフルエンサーへの紹介の依頼、お客さまの投稿を増やす取り組み、SNS上の声の調査まで含む、より広い言葉として使われています。
Q. 予算がほとんどありません。何から始めればいいですか?
お金をかけずに始められるのは、自社アカウントの運用とSNS上の声の調査です。まずSNS上の声を調べて、お客さまがよく気にしていることを投稿のネタにするところから始めると、何を投稿するかで迷いにくくなります。
Q. フォロワーを増やすことを目標にしてもいいですか?
フォロワー数は分かりやすい数字ですが、増えても来店や問い合わせにつながらないことがあります。プロフィールを開いた人や、予約・問い合わせにつながった人の数も一緒に記録して、比べてみてください。
Q. インフルエンサーに無料で商品を渡して紹介してもらう場合も、広告の表示は必要ですか?
お金を払っていなくても、企業が依頼して投稿してもらう場合は、広告として扱われることがあります。商品の提供だけの場合も、広告だと分かる表示を入れてもらうよう依頼してください。判断に迷うときは、消費者庁の資料で確かめるのが確実です。